自動車整備故障診断整備のススメ
せいび界2012年12月号
診断ソケット位置の情報など時間短縮に役立つスキャンツール
今回は、スキャンツールとクルマを繋ぐ診断ソケットについて紹介する。
スキャンツールを繋ぐ前に、バッテリー環境の整備(5~7月号に掲載)や問診(9月号に掲載)など全ての準備を終えると、いよいよスキャンツールをクルマに繋ぐだけとなる。
しかし、その時になって診断ソケットの位置が分からず、探し回って時間を無駄にしてしまい、困ってしまったという経験がある方は多いのではないだろうか。
■ 見つからない診断ソケット
診断ソケットは基本的に運転席から手の届く範囲に設置することが世界的に決まっており、国産車は診断ソケットの位置がほぼ共通しているため、初めて触るクルマでもある程度当たりをつけることができる。
しかし、輸入車に限ると、なぜそんな所にあるのか? と思う場所に設置されていることが度々ある。
例えば、フォルクスワーゲンのゴルフ。診断ソケットの位置は、灰皿を取り出して、奥にある蓋をスライドさせなければ、診断ソケットが出てこないという。知らなければ恐らく一日かかっても発見出来ない場所だ。
また、灯台下暗しといったところで、シフトレバーの前に設置されている車種もある。この場合、これまでの経験や常識で「こんなところにある訳がない」と思い込んでしまい、目の前に見えているのに発見出来ないということになる。
このようなことで、時間を一時間も二時間も潰してしまうのはもったいないことである。
■ 輸入車への苦手意識を解消
こういった時に、役に立つのが多機能型のスキャンツールである。診断ソケットの位置も含めた車両の情報が登録されているので、すぐに診断ソケットの場所が分かり、効率的に作業を進めることが出来る。
また、輸入車にも対応しているスキャンツールを導入すれば、苦手意識を持つ輸入車に対しても有効に対応できる。輸入車に対する苦手意識は、国産車との細かい違いや専用工具が必要など、小さいことの積み重ねによって、生じるように思える。
こういった多機能型スキャンツールを導入して、もっと多くの輸入車を取り扱ってみることを推奨する。