自動車整備故障診断整備のススメ
せいび界2013年01月号
故障原因探求の仕方【前編】
前回は診断ソケット位置について紹介した。診断ソケットの位置は車種ごとに異なり、輸入車は特にこれが顕著で、事前の予備知識が重要であると認識させられる。予備知識が必要なのはソケット位置だけでなく、実際の故障原因探求も同様だ。
そこで、今回からは、いよいよ実際にスキャンツールをつなげた後に話を移す。スキャンツールによる故故障原因探求で、事前に押さえておくべき予備知識を見ていこう。
■ 故障診断の流れ
まずは、故障診断の一連の流れについて紹介していく。スキャンツールをつなげると、その車両に搭載されているコンピュータの一覧が画面に表示され、エンジン、ミッション、ABS、エアバッグ等の項目が表れる。
これは、スキャンツールの使用者が、先に車両の型式番号を入力することで、登録されているデータが呼び出され、表示されているのである。
エンジンの調子が悪い場合には、エンジンの項目を確認していき、故障メモリーを選択する。そこで、表示されるのが、故障コードである。
故障コードには、それぞれ意味があり、Pコードが駆動系やOBDⅡ(パワートレーン)、Bコードがボディ、Cコードがシャシー、Uコードがその他(通信システム、イモビライザー等)を表している。Pコードはどの車両にも共通したコードだが、B、C、U各コードはメーカーや車種によって異なる。
そして、修理後に故障コードを消去することで、故障診断整備は完了である。
■ 故障コード=故障原因とは限らない?
ここで重要なのは、故障コード=故障原因とは限らない点である。つまり、故障コードは不具合箇所を示す記号であって、故障原因を示すものではない。
読者の中にも故障コードを頼りに該当部品をすぐに交換しても、故障が直らず、時間を浪費してしまったことはないだろうか? これを避けるため、整備士は問診やフリーズフレームデータなどで情報を集めて、修理箇所を特定していくことが必要となる訳だ。
さて、次回は故障原因を特定するための具体的な方法などについて触れてみたい。