フリーズフレームデータの活用方法

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2013年03月号

フリーズフレームデータの活用方法

前回、情報収集と論理的思考は素早い故障原因探求に必要で、お客さまの信頼を得るために重要なポイントであることを紹介した。
今回は、収集すべき情報の1つであるフリーズフレームデータについて紹介する。これを上手く活用すれば、どのような状況で故障が起こったのかが分かり、故障原因を特定する大きな助けとなる。

■ フリーズフレームデータとは

フリーズフレームデータとは、J-OBD2に搭載されている機能の1つで、エンジンや排ガス関係に影響を及ぼす故障が起こった際に、その瞬間のエンジンの状況を記憶した数値である。
エンジンの状況は、13の項目(計算エンジン負荷、冷却水温、エンジン回転数、スロットル開度、車速、燃圧、吸気温度、インテークマニホールド負圧、吸入空気量、フィードバック状況、燃料補正量、点火時期、二次空気状態)に渡って記憶される。
ちなみに、J-OBD2は2008 年10月以降の新型車に搭載が義務付けられており、2008 年以前の車両には、フリーズフレームデータがない場合があるので注意されたい。

■ 故障原因探求には情報収集が不可欠

呼び出したフリーズフレームデータを分析することで、故障原因の特定が容易になる。
例えば、エンジン回転数、車速、スロットル開度の数値が高ければ、アクセルを強く踏み込んで、スピードが出ていた状況が見えてくる。ここから、エンジン内の水温が上昇し高温状態になり、エンジンに高い負荷がかかっていることが予想出来る。センサー類にも相当なダメージが与えられ、故障もしくは異常が出たのかもしれないという、ある程度の予測が立てられる。

反対に数値が低い場合には、低速時や停車中に故障が起きたことになり、経年劣化で異常が起きたのかもしれないという想像や予測をすることが出来る。
このようにフリーズフレームデータを分析して、考えられる故障原因を絞っていくことで、効率良く故障原因を探求することが出来る。より分析の精度を高めるためには、常日頃からスキャンツールを活用することである。

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