自動車整備故障診断整備のススメ
せいび界2013年04月号
スキャンツールとコンピュータの通信
前回は、フリーズフレームデータについて紹介し、情報収集はとても重要なことであることが分かったと思う。情報を集める方法の1つにスキャンツールで計測する実測値があるが、これはスキャンツールとクルマに搭載されているコンピュータが情報交換をしている証しでもある。
今回はスキャンツールを繋いだ後の段階で、コンピュータとの情報交換について紹介したい。
■ 車載のコンピュータを認識するスキャンツール
クルマには、コンピュータが搭載されていることは、もはや常識に近いことではあるが、同じ車種でも発売時期が異なれば、搭載されているコンピュータの仕様も異なってくることはご存知だろうか。
そして、多機能型スキャンツールの中には、そのコンピュータを認識し、識別する機能を備えているものがある。識別ができるということは、その年式・型式の車両であれば、このコンピュータが載っているということを確定させることになり、コンピュータとの正確な通信を保証することにもなる。
■ 間違った認識でズレる実測値
では、車両に搭載されているコンピュータを間違えて認識するとはどういう状態なのだろうか?
例えば、クルマのコンピュータがエンジンの回転数を760 回転/分と情報を発信しているのに、受け取る側であるスキャンツールが、その情報を正しく認識出来ずに、1,400回転/分だと誤って判断してしまうということだ。
そうなると表示される数字が正しいのか、正しくないのか、どの数字を信用して良いのか判断が出来なくなってしまう。だから、スキャンツールがクルマに搭載されているコンピュータをしっかりと認識出来ていることは、非常に重要な要素である。
逆に計測結果が正しいものと思い込み、当該計測部品が故障をしていると判断し、壊れてもいないのに余計な修理や部品交換をしてしまう可能性すら出てくる。こういったことが起きないように、スキャンツールがコンピュータをしっかりと認識出来るのかどうかを、購入する際の判断材料にしてみてはいかがだろうか。