〔 番外編 〕 付加価値を生み出すエアコンビジネス

自動車整備故障診断整備のススメ

せいび界2013年9月号

〔 番外編 〕 付加価値を生み出すエアコンビジネス

これまでスキャンツールを使った故障診断整備について紹介してきたが、今回はスキャンツールから一旦外れて、エアコンに関連する新たなビジネスモデルを紹介する。
新規客が取れない、部品が売れないなどの悩みを持つ整備工場にぴったりな新しいサービスで、顧客満足度を高めよう。

■ 付加価値として新たなサービスを提供

近年、壊れにくく、なおかつ修理出来る箇所の少ないハイブリッド車や電気自動車が増加している。ブランド別の新車販売台数ランキングを見ても、トップ10 の半数はプリウスやアクア等のハイブリッド車が占めており、今後はこういったクルマが主流となっていくことは想像に難くない。
このままいけば、整備工場としては、利益を出すことが難しくなる。入庫してくる車両の半数がハイブリッド車や電気自動車になれば、修理をすることも部品を売ることも出来ない。では、如何にしてお金を稼ぎ、利益を出すのか。今あるサービスの単価を上げるのか、付加価値として新たなサービスを提供するのかを考えるのは急務である。現実的に考えれば、急に単価を上げることは出来ないので、新しいサービスを始めることが最善策である。そこでおすすめしたいのが、今回紹介するエアコンビジネスである。

■ 人間は暑さを我慢出来ない

通常、エアコンは1 年間使用すれば、8% 程度ガスが抜けてしまう。車検期間になぞらえて、2 ~ 3年間では16 ~ 24% と3 割近くのガスがなくなる計算になる。それだけのガスが抜ければ、当然能力も低下する。しかし、エアコンは最近のバッテリーと異なり、急に能力が落ちる訳ではなく、徐々に低下していく。そのため、普段から乗っていると気付きにくく、ある日、ふとした時に冷房能力が落ちていると気付くのである。

皆さんはエアコンの吹き出し口の温度を測定したことがあるだろうか? 能力が低下した時のエアコンの冷房温度は全開にしても、たいてい15℃程度だが、今回おすすめするボッシュの「ACS751 Hybrid」を使用することで、9℃近くまで下げ
ることが出来る。
ドライバーは、ワイパーの劣化により、フロントガラスに筋が入って見えづらくなっても「まだ大丈夫だろう」とか、タイヤが摩耗しても「まだ走れるだろう」といって我慢することは出来るが、「暑さ」に関しては我慢することが出来ないものだ。
夏場、停めていたクルマのドアを開けた時に、ムワッとした空気が漂っている中でエアコンをつけずに過ごす人はいない。だからこそ、エアコンを上手く活用したサービスを展開するべきなのである。

■ エアコンサービス機器「 ACS751 Hybrid」

現在、行われているエアコンサービスといえば、お客さまから言われた際にエアコンガスを充填するくらいのところがほとんどだろう。しかし、どれだけの人が充填量をきっちり計っているだろうか? 車両には規定の量が定められているので、多すぎても、少なすぎてもいけない。適正な数値に収まるように上手く充填しなくてはならないのである。
ボッシュの「ACS751 Hybrid」は、R134a 冷媒用エアコンガスを回収・再生する装置で、車両ごとの規定量まで正確に充填することが可能だ。乗用車や商用車はもちろん、電動コンプレッサーを搭載したハイブリッド車に使用されているエアコンオイルにも1 台で対応出来る優れもの。

そもそもエアコンオイルには、従来の乗用車に搭載されているベルト駆動式コンプレッサー用のPAG(=ポリ・アルキレン・グリコール)オイルと、ハイブリッド車に搭載されている電動コンプレッサー専用のPOE(=ポリ・オール・エステル)オイル
と2 種類がある。POE オイルは電気を使用するハイブリッド車用に特に絶縁性能を高めている。
また、この「ACS751 Hybrid」は、上記2 種類のオイルを使い分けることが出来る。車両タイプの切り替え時には、短時間フラッシングを行い、回路内に残留しているオイルを除去して、2 つのオイルが混ざることを防ぐ。他にも、回収したガスを洗浄・再生し、また車両から回収したオイルの量を自動で計量するので、不足した分を車両の規定量まできっちりと補充することが出来る。

■ 顧客満足度を上げる大きな武器に

こうした機器を活用すれば、エアコンの調子は間違いなく上がる上に、冷房の温度が低くなれば、車内を冷やす時間も短くなる。結果的にエアコンコンプレッサーの駆動時も短縮される。つまり、エンジンに掛かる負荷も低減でき、結果として省エネ・省燃費に繋がる。
クルマが入庫した際には、スキャンツールを繋げ、エアコンシステムのECU 診断を実施して、エラーチェックをし、その時に併せて、「ACS751 Hybrid」を使ったエアコンサービスを提案してみるのはいかがだろうか。きっと顧客満足度を上げる、大きな武器になるはずだ。

ボッシュ株式会社
オートモーティブアフターマーケット事業部
〒150-8360 東京都渋谷区渋谷3-6-7
TEL 03-5458-6060(代)

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