ハイブリッドシステムの概要  その2

前回、ハイブリッド車の概要を解説しましたが、今回は更に具体的な内容を説明していきます。
ハイブリッド車はトヨタをはじめ、ホンダ、日産、外車メーカーなどが販売しています。現在では500万台強が日本全国で走っている統計が出ています。代表的なトヨタのシステムを見るとTHSⅡ(トヨタハイブリッドシステム2)という、他メーカーとは異なるシステムを採用しています。前回紹介したシリーズパラレル方式に当たります。

■ モーターを2個使ったハイブリッドシステム

MG1とMG2(モータージェネレーター)と呼ばれる2個のモーターと28セルから構成されるハイブリッドバッテリー(ニッケル水素)、500V以上に昇圧するDC-DCコンバーター、直流⇔交流に変換するインバーターがこのシステムの肝です。ちなみに、4代目(現行)プリウスではバッテリーがリチウムイオンに進化しています。

MG1とMG2の働きについてですが、MG1はエンジンを始動するためのスターターモーター、通常走行ではジェネレーターとしての働きをします。ハイブリッドバッテリーへの充電、MG2への電力供給をしています。

MG2の働きですが、動力モーターとして単独で走行したり、エンジンをアシストしたり、バックの際に逆回転するなどといった動きをします。また、MG2は減速時に回生ブレーキとして働き、発電した交流電力をインバーターによって直流に変換し、ハイブリッドバッテリーを充電する役割を持ちます。

■ ハイブリッド車だからこそのスキャンツール

スキャンツールの活用はハイブリッドシステムにエラーがないかを確認すると共に、実測値を使用してハイブリッドバッテリーの状態をチェックすることです。回生ブレーキが機能しているかどうかを確認するなどの他に、ブレーキフルード交換時のエア抜きエラー消去、ヨーレート、Gセンサーリセット、インバーター冷却水交換時のエア抜きなどがあります。これらはスキャンツールを使わなくてもエラー解除は出来ますが、スキャンツールを活用した方が効率的なのは当たり前です。

■ ハイブリッド車だからと臆さない

スキャンツールの有無よりもハイブリッド車に慣れる、知る、触ることが重要です。平たく言えば日常的に点検整備をしている延長線でしかないのです。というのも当たり前ですが、ハイブリッド車にも通常のレシプロエンジンも搭載されているからです。20プリウス、アクアには1.5Lの1NZ-FE、30プリウスは1.8LのZZR-FXEが搭載されており、ハイブリッド車以外にも使われております。

整備をする上ではハイブリッド車以外と同じようにエンジンオイルや日常点検は必要であることは自明の理です。スキャンツールを使ってエラーチェックをして、各種センサー類のチェックも必要になります。ハイブリッドだからといってエンジンの型式が大きく変わるわけではないことを十分に理解し、積極的に取り組んで欲しいと思います。

監 修:ボッシュ株式会社 長土居大介

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