足回り整備ビジネスでチャンスを掴め!
クルマが進化しても足回り整備は付いて回る
クルマは飛躍的に進化し、道路も整備され、その結果、クルマは壊れなくなり、水・油脂類を除いてメンテナンスフリ-的な感覚にエンドユーザーは陥っている。しかし反面、高速道路の発達で、クルマそのものの巡航速度は確実に高くなっている。また移動距離も随分と長くなってきた。
今後はクルマの高速安定性の確保・維持が足回り整備の重要な役割を占める傾向が高くなる。そのため、走行安定性の低下による事故の例も少なくはない。車齢が長くなっている今日から判断してもタイヤ、ブレ-キ、ショックアブソ-バ-、アライメント整備を含めた足回り整備の需要は高く、足回り整備の重要性を認識させなければならない。クルマの性能は使用過程において低下することこそあれ、向上することはないからである。
クルマそのものが技術的に進歩したのはエンジンだけではなく、タイヤ・サスペンションも含め飛躍的に進歩している。そのため、今までの経験と勘に頼る足回り整備は成り立たなくなっている。
クルマの骨格がどのようになっているか数値的デ-タで検証し、それを基に足回り整備を行わなければ整備そのものが全く根拠がない整備となってしまう。
足回り整備そのものは昔からある整備である。整備に携わっている人なら知らない人はいないはずである。
その足回り整備が注目を集めたのが、足回り整備機器の普及であった。初めて日本に上陸したのは今から約25年前の事である。それにも関わらず定着しなかった背景には、様々な要因がある。車検時にサイドスリップテスタ-で測定・調整すれば問題はないといった考え方は、もはや通用しない。
それはクルマの進行方向を決定しているのはリヤタイヤの向きだからである。これが進化したクルマの構造なのである。クルマの走行安定性を決定付けているのはクルマのシャシ部分、いわゆる骨格の部分である。その骨格の部分の狂いを目視で判断するのは不可能に近い。そのために骨格の部分を数値で表現できるのが唯一、4輪アライメントテスタ-しかないのである。
それで初めて、そのクルマの状態を診断し、初整備方法を選択できる訳である。これが足回り整備の基本である。まずはそのクルマの状態を知ることから考えなければ、そのクルマが正常であるか否かも判断ができないのである。クルマの高度化に伴って、足回り整備は新たな曲面を迎えたことになる。
実は足回り整備の必要性は増してきている
欧米では、足回りサービス需要の多いブレーキ、アライメントサービス、タイヤサービス、ショックサービスなどを総合的に供給する「アンダー・カーサービス」専門店が、カーディーラーやタイヤショップ、整備工場を上回る数で存在し、根付いている。日本では同じような業態が少ないため、アンダーカー・サービス・ビジネスは、今だに確固たるマーケットを築くまでには到っていない。
しかし、近年、タイヤショップを中心に足回り整備の需要は増えてきている。タイヤ交換を含め、足回り整備はユーザーの快適走行を支え、低燃費走行にも寄与するものとなっており、ニーズが増えているのだ。
整備工場の中にもアライメントを中心とした足回りサービスにいち早く注目し、一般ユーザーはもとより、カーディーラーやタイヤショップ、車体整備工場などから安定した新規ユーザー受注を受け続けている工場もある。
これは、日本でもアライメントを含めた総合的な足回りサービスに、業者もユーザーも相当強い関心を持っていることを裏付けるもので、米国の「アンダー・カーショップ」的役割を担うサービスショップを求めている証である。
車両期間の長期化や総走行距離が長くなるに伴い、車両の安全確保の観点からアライメントサービスが注目され、「アライメントサービスは絶対必要」という観点からカーディーラー工場をはじめとして、車体整備工場やタイヤショップなどでここ数年、アライメント導入率は高まっている。
しかし現状は、新車販売時のクレーム処理や事故車で活用している程度で、アフターサービスの営業品目として確立されていない。しかしこれは、ディーラー工場やタイヤショップなどによると、受け皿となる時間の掛かる難しい仕事を受ける、技術を修得した専門ショップがないためで、それさえできれば、ユーザーニーズも高まってきており、いつでも営業品目として組み込めるという。
軽自動車やリッターカーに後輪の調整できない車種が増加
現在の国産車の足回り構造につい、後輪の調整機能が付いていない車種が増えてきている。ハイグレードの車種きちんと後輪も調整できるものが多いが、例えば軽自動車やリッタークラス(トヨタ車ではカローラクラス)は後輪の調整機能はない。
現在、軽自動車あるいはコンパクトカーが増えてきていることを考えると、調整機能の付いていないクルマが増えていると推察できる。
トヨタ車の場合、大半のFF車が後輪の調整機能の付いていないものになってきている(FF車ではエスティマ・クラスも含まれる)。日産車でもスカイラインクラスなら、当然前後輪とも調整機能が付いているが、こちらもFF車の車種によっては後輪の調整機能が付いていない。
調整機能のないクルマに関しては、部品交換またはトータルトウが正確な値を示していて、スラスト角がズレている状態であれば、取り付け位置がズレていることも考えられる。その位置を調整することで修正できることもある。このように調整機能の付いていない車種に関しては、専門の技術を持った整備士でないと、もはや修正不可能である。
そこでアライメントビジネスを考えた時、整備工場もまだまだビジネスチャンスは広がっていると言える。この部分はまだまだ認識不足であると言わざるを得ないだろう。
また、カーメーカーは新車の段階で安全に通常走行するモノとしているので、もしアライメントに狂いが生じたものがあれば、それはユーザーの使用者責任ということになる。
しかし、常日頃走っているクルマな縁石に乗り上げたりして、少しずつでアライメントが狂ってくることはある。
ましてや、事故車などは衝突部分の見た目はきれいに修理されていたとして実際にはアライメントが狂っていたりすることもある。中古車でも事故歴はあっても外装がきれいに直っていれば、商品として売れるだろう。しかし、実際にその調整や修正を行ってくれる、アメリカでいうアンダーカーショップ的なものは日本にはまだ数は少ない。
出来ることなら足回りの総合診断をしてくれるところがあればと考えても、技術力があって足回りの知識も豊富、アライメントテスターを十分に使いこなし、本当の意味での足りのプロショップと呼べるところは現状では少ない。
整備工場はタイヤ販売にも力を入れよう!!
足回りサービスのもう一つのポインとして、“タイヤ販売” に注目したい。
備工場は用品関係の中で、ディーラーカーショップ、SSに比べて、タイヤの販売が圧倒的に少ない。これは、在庫の問題や専門職の不在など原因があるが、まず何より販売提案が出来ていないことが問題だ。一方、足回りビジネスを上手に展開している整備工場の多くは、タイヤ販売も好調だ。
特に寒冷地や積雪の多い地方では秋冬商戦でスタッドレスタイヤをきっちり販売して、収益の柱にしている。実際、タイヤ販売市場は車両の長期使用に伴い、確実に伸びてきている。
足回り整備とタイヤ販売のコンボは整工場にとって、新たな収益源になるはずだ。