自動車ビジネス二代目育成塾

自動車整備業ではどう事業継承しているのか?

自動車業界、特に我々が関わっている中古車専業店、自動車整備専業店などにおいても、世代交代に差し掛かる企業が増えてきた。それに伴い、われわれ船井総合研究所でも世代交代、事業継承に関するご相談が急速に増えてきた。というのも、3 代以上続いている企業を除くと、ほとんどの経営者にとって、世代交代も事業継承も初めての体験だからだ。また、他業種の事例であればお付き合いしている税理士の先生や地域の経営者仲間や知り合いなどから、断片的に聞いたりすることはできるが、同じ業界でとなると、案外、地元の同業者に腹を割って話すのも難しい。

そこで、中古車専業店や自動車整備業という同業種でたくさんの会員数(平成25 年1 月現在会員数239 社)を持ち、多くの事例を知っている船井総研に他の会社はどうしているのか教えて欲しいということのようだ。
そこで、このコラムの中では、船井総研オートビジネス経営研究会の二代目育成塾(車屋さん経営者親子向けの世代交代・事業継承に特化した勉強会)の中で、実際にどういう形で世代交代、事業継承をしていったのか(あるいはまさに今どうしているのか)について、創業者や後継者に発表いただいた事例、そして我々コンサルタントが普段、全国津々浦々の車屋さんへのお手伝いをする中で実際に見聞きしてきた事例を中心にご紹介をしていく予定だ。多少なりともご参考にしていただけると幸いである。

まずは身内(息子・娘・婿)に継がせることを決めること

さて、経営者の仕事は大きく二つある。まず一つ目は絶対に会社を潰さないことである。これは多くの社長が納得できることだろう。そして二代目は次の社長を育て事業を継承していくことだ。その中で間違いなく言えるのは、やはり中小零細規模の車屋というのは、身内で継承していくのが良いということだ。よく経営者の方で、「後継者は必ずしも息子(娘)でなくても良い」などとおっしゃる方がいるが、そんなことをおっしゃっていた経営者の方も、結局9割以上の方は息子・娘・婿といった身内に引き継いでいく。それは、現実問題として借金や株式の継承等を含め他人では引き継ぎにくいこと、そして、息子・娘といった身内がやはり一番後継者の条件を備えていることが理由として挙げられる。であれば、変に誰に継ぐか分からないといったことを言うよりも、身内に継いでもらうことを出来るだけ早くから決定し、準備していく方が現実的だ。

つまり、できるだけ早くから、それこそ、社長になった瞬間から、後継者が子供のうちから、いかに経営者業という仕事がすばらしく、やりがいがあり、楽しいのかということを折りに触れ伝えていくことが大切なのだ。
今、まさに事業継承中の中国地方H社の社長は言う。「多くの社長が家に帰ると経営者業に関するグチをこぼすが、私は一切しなかった。そんなことをすれば誰だって継ぎたいとは思わないでしょう。私はできるだけ商売の楽しさ、経営者業の楽しさを伝えてきた。そうすることで息子は自然とこの会社を継ぐことを決めてくれました」と。
あなたの場合はいかがですか?

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