事業継承を成功させている多くの企業が取り組んでいる「新卒採用。」今回は事業継承を成功に導くために新卒採用に取り組む必要性をお伝えしたいと思う。
二代目が中心となり新卒採用活動に取り組む
事業継承を成功に導くために新卒採用は非常に有効であるが、大前提として採用活動には二代目が中心となって取り組む必要がある。具体的には、求人媒体や自社のHPに自分の想いや会社のビジョンを自分の言葉にして掲載すること。合同企業説明会や学校回りなども人事担当者任せにせずに自分が積極的に行う必要がある。また、説明会や選考で採用したい学生に出会ったのであれば、二代目自らが口説きに行かなければならない。最終的なゴールとしては「この人の下で働きたい」と思わせることが目標となる。
自分が採用した新卒中心の組織は業績を上げやすい
なぜ、二代目がそこまで採用活動に参加しなければならないのかと言うと、単に自分に対してロイヤリティの高い社員の数を増やす必要があるから。やはり、事業継承を円滑に進めるためには二代目は先代に対して結果・成果を示さなければならない。そのためには、先代が採用した中途社員を中心とする組織では、やはり先代のカラーが強く、二代目が新しい取り組みや新しい事業を始めようとすると必ずといって良いほど反対意見が出てスムーズに事が進まない。それに比べて、自分が採用した新卒は何色にも染まっておらず、二代目に対する忠誠心が高いため、二代目の言うことを素直になんでも聞くことができる。そのため、新しい取り組みや事業展開を進めやすく、その成功確率、スピードが格段と上がる。
事業継承後の未来を創造しやすい
新卒採用の特徴として「入社する時期が決まっている」ということが挙げられる。これによって、社員の新卒比率がある一定のラインを超えたタイミングで事業継承するなど、事業継承の計画も立てやすい。
また、事業継承後の事業計画が立てやすくなる。具体的には新規出店のタイミングや事業付加のタイミングは4月に入社してくる新卒に合わせて、7月や8月に出店拡張する所も少なくない。
二代目が手間ひまかけた分だけ、新卒は成長する
新卒を中心とした組織の成長スピードや離職率を決めるのは、二代目がいかに新卒社員との接点を持てるか? が大きく影響する。やはり、採用した後接点を持たなければ新卒の離職率は上がる。それどころか、せっかく苦労して採用した新卒が会社に批判的な中途社員の影響を受けて曲がって育ってしまい、新卒の後輩や同期に対して中途社員のように会社批判をするなどということはよくある話だ。新卒の育成スピードが早く離職率の低い会社では、二代目自身が新卒を月に一度以上1回1時間程度のペースで集め、二代目塾を開く。そ
こでは、働く価値観や物事の考え方、日ごろの業務の中で感じている疑問点などを二代目自らが伝えていく。さらに新卒の社員一人ひとり3~4ヶ月に一度個別面談をするようにしている。
やはり、このように手間ひまかけている企業の新卒は成長スピードも速く二代目に対する忠誠心も高い。
次ページもまた、事業継承に関する事例をお伝えしたいと思う。