廃車

車検で預かった車の所有者が行方不明!?

経営サポーター活用術

質問、車検で預かった車の所有者が行方不明

依頼者が行方不明となりました。車は敷地内の駐車場に置いたままです。工賃などはあきらめるとしても、この車を処分したいのですが問題ありませんか?

解答、車をすぐに処分することはできません。

車を勝手に処分することはできません。場所を多少移動するくらいならば違法性はないと思われますが、できるだけ移動もしない方がトラブル防止の観点からはよいと思います。
車を処分するためには車の処分権限、すなわち所有権を取得する必要があります。所有権を取得するためには車について競売を申し立て、自らそれを競落する必要があります。
競売申立の為には、まず判決などの強制執行の基礎となる裁判所の命令が必要ですので、まず、依頼者宛に未払の工賃の支払いを求める訴訟を起こすことになります。依頼者の居場所が分からなくても公示送達という方法で裁判は起こせます。以上をまとめると、車を処分するまでのスケジュールとしては以下のようになります。

①未払請求訴訟提起(被告に公示送達)→②勝訴判決に執行文付与申立→③競売申立(車を対象)→④自己競落(車の所有権取得)→⑤処分(もちろんそのまま自分の車として使用してもよい)

■「 公示送達とは」

相手方の住所が不明で郵便を送付しても到達する可能性がないのであれば、内容証明郵便を送付する意味はありません。送付しても「宛所に尋ね当たらず」として返送されるからです。このような場合の代替手段としては、内容証明郵便の送付によって、何を目的とするのかによって取るべき手段が異なります。

① 例えば、債権などの消滅時効の中断をしたいのであれば、債権の支払を求める正式 訴訟を提起します。訴訟の場合は、相手方の住所が分からなくても、公示送達という方法で訴状等の訴訟書類が相手方に到達したものとみなされる制度があるからです。なお、簡易裁判所の支払督促の制度は、相手方の現実の住所地が管轄となりますから、現実の住所が不明の場合には利用できません。

② 契約の解除などの意思表示をしたい場合でも、「意思表示の公示送達」という裁判所の手続がありますから、これを利用します。これも、一定の意思表示を裁判所に掲示することによって一定期間経過後に相手方に到達したものとみなす制度です。

原田 博実(はらだ ひろみ)
MBA 経営学修士/関西学院大学大学院 経営戦略研究科 修了
関西学院大学特定プロジェクトビジネスマイニングセンター
客員研究員(2007 年~ 2011 年)
主な著書 「スバルだより」(富士重工/ 2011 年より連載)
「整備戦略 経営特集号」(日刊自動車新聞社)
「財務諸表” 寝かせ読み” 速読法」(アスキー新書/ 2010)「“クルマ屋” 経営塾」(日刊自動車新聞社/ 2011 年)

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