特別講演
株式会社アクセス 代表取締役 黒木 康男 氏
ご存知の通り、我々の業界というのは人口は減っていますし、保有台数もこれからどんどん減っていきますので、マーケットが拡大していくと思っている方はいらっしゃらないと思います。
当社もそう思っていまして、こうした厳しいマーケットの中で、どうやって勝ち残ればいいのかと自分なりに考えまして、キーワードを4 つ挙げさせていただきました。
1 つが固定化、2 つ目が差別化、3 つ目が連携、4 つ目が理念の共有です。さて、マーケットが縮小するというのは、どういうことかと言いますと、大相撲で例えてみますと、大相撲は皆さんご存知のように15 日制ですよね。15 日制ということは、8 勝すれば1 つ勝ち越し、9勝すれば3 つ勝ち越し、10 勝すれば5 つ勝ち越しということです。裏を返すと、7 つまでは負けられるわけです。
では、マーケットが縮小するということは、どういうことかといいますと、大相撲が9 日制になるようなものです。9 日制になると、7 つ負けると完全に負け越しです。つまり4 つしか負けられないわけで、要は縮小するマーケットではいかに負けを防ぐか、固定客の流出を防ぐかなのです。
新規客が大きく拡大できない中で、固定客を流出させないということが縮小マーケットでの戦い方なのではないかと思います。そこで当社は平成23 年5 月から生涯取引顧客に力を入れるようになりました。
新規客も大事ですけれども、それ以上に既存客はもっと大事ということです。
次に差別化というのは何かといいますと、これだけマーケットが縮小してくると、お客さまから選ばれる会社、「あの店『で』いいや」ではなくて、「あの店『が』いい!」とならなければ、たぶん生き残れないのだと思います。
「あの店『が』いい」と言わしめるためには、何か特長がないといけないですよね。他社になくて当社にある、「あそこは『あれ』があるからいいよね」という「あれ」をお客さまに示していかなければ、選ばれる会社にはならないのではないかと感じておりまして、この差別化にも力を入れるようにしております。
3 つ目の連携とはどういうことかといいますと、皆さんご存知の通り自動車業界というのは、分業していますよね。これは業務の効率化を図る意味では、非常にいいシステムだと思いますけれども、片やお客さまの視点でみると、どうなのでしょうか?ということです。この分業がどういう風に映っているのか?
本来ならばお客さまって、窓口が1 つの方が便利ですよね。黒木さんに頼めば全部分かる、黒木さん黒木さんと言っていれば全部解決する、これはお客さまにとってはとってもコンビニエンスですよね。
しかし私たちは業務の効率化を図るという名の下に、分業をしています。これって実はお客さまの利益と相反するのではないかと思います。そうは言っても、今さら1 人のお客さまを全部対応するということはできないわけで、この分業化を崩すというのは一番難しいです。
ではどうしたらいいかというと、やはり部門ごとの綿密な連携を図るということです。他部門との連携を図っていくということは、大事なのだろうと思います。これはお客さま視点から見れば、それが一番いいのだろうと思っています。
最後、理念の共有。やはり組織ですから、バラバラに動いていると力が出ないのです。ベクトルを合わせていかないといけません。そうすると、「この方向に進むよ」というこの方向が明確でないと、組織というのは力が出ないと思っておりまして、まさしく「ウチの会社はこういう会社だよ」、「ウチの会社はここを目指すよ」という所を全従業員に浸透させる必要があるのだろうと思っております。