全国の有力自動車整備工場が集まり、自動車整備業の勝ち残り策を研究、発表するMSC経営戦略会議(山崎 太議長)は、去る2015年11月5日・6日に、第108回研究会を開催した。
研究会初日は日刊自動車新聞社 関東支社長の高橋賢治氏をコーディネーターとして、「事業承継とこれからの整備業」と題したディスカッション及びミニセミナーを開催、2日目は東京ビッグサイトで開催された第44回東京モーターショー2015を見学した。
山崎太議長 挨拶
昨年、父が亡くなりましたが、肩書きだけの社長と本物の社長との違いは、名刺に「代表」という文字が載った瞬間に重みといいますか、責任感が出てきたということです。
違いの2つ目は、父がいた時にやりたかったことと、父がいなくなった今やりたいことにずれが出てきたことです。
父という支えがいる頃はがむしゃらで、何かあっても助けてくれるだろうという考えがありました。
しかし、支えがなくなってからは、すべての責任が自分に降りかかってくるわけです。だからといって、現状に踏みとどまるわけにもいきませんが、幸いにもここ数年、会社の業績自体は上向きになっております。
ただし、今後10年先、20年先を見た時には先が全く見えないのが現状だと思います。こうした状況に対して、今日はディスカッション形式ということで、議論の場を設けていただきました。
こうした機会はなかなかないと思いますので、1つだけでなく多くを持ち帰っていただければと思います。
講演
事業継承とこれからの自動車整備業
日刊自動車新聞社
関東支社長 高橋 賢治氏
企業の規模は関係なく、トップの考え方がどこまで行き渡っているか、某自動車メーカーを担当していた時に感じたことなのですけれども、経営側が持っている考え方が、何十万人いるか分かりませんけれども、末端の社員までなぜ浸透するのかがすごく不思議で、他の自動車メーカーはほとんどなく、そこだけなのです。
結果、分かったことは、社長が例えば幹部会で話をすると、今まではだいたい翻訳されてしまって正しく伝わらなかったのですが、今はIT時代なので全部画像で残しておいて、全員に配信するというのです。
例えば、会社の方針としてこれを強化しましょうというのがあったら、どうやったら末端まで伝わっていくのかというのが、たぶん、一番大事なのだろうなと思います。いい会社ってそうなのです。上の考え方と下の考え方があまりずれていない。
事業承継も同じです。社長と後継者のベクトルを合わせるのです。
方向性を決めて、「我々の会社はこういう会社づくりをするんだ」というのがどこまで浸透するか。
こういったことを考えた人材づくり、教育については、もう繰り返ししかないと思います。コバックの加盟店でリピート率が7割あるという所を取材した時に、何かコツがあるのか聞いたのです。それに対して、「そんなものはないんですよ。社員教育の繰り返しです。どういう接客をしたらいいかという教育をひたすら繰り返しやるだけで、ウルトラCなんてあるわけありません」と言われました。
たしかに何かコツがあれば、皆さんすぐに真似してたぶん成果も上がるのでしょうけれども、実際にはなかなか成果が上がらなくて、結局、差がつくのは繰り返しをあきらめずにやれるか、途中で嫌になってしまうか、そういう所だと思います。
<一部抜粋>