スパークプラグの定期点検を実施して
交換需要を取り込め!!
エンジンの不具合の要因の多くは、スパークプラグの劣化・不調に原因がある。常に良好なエンジン性能を維持するためにも、提案型営業でスパークプラグの定期点検から予防整備を推奨することは、整備工場の使命と言えるのではないだろうか?今回の整備工場の部品販売術はスパークプラグの提案型点検整備事例を紹介する。
長寿命プラグであっても、定期点検と交換が必要!!
近年、整備工場における補修部品交換は減少傾向にある。もちろん部品自体の品質が向上し、長期保証、メンテナンスフリーといったパーツが増え、補修部品全般の交換サイクルが伸びてきていることも原因である。また、ユーザーも「クルマの維持費に、なるべくお金をかけたくない」という整備費用抑制傾向も部品交換の減少に拍車を掛けている。
こうした中、以前なら車検時交換がほとんどであったスパークプラグも交換需要は減ってきている。特にスパークプラグの場合、白金やイリジウムといった長寿命タイプのライン装着が増加し、交換サイクルがかなり伸びてきていることも影響している。
もちろん、こうした付加価値の高いプラグ、また今まで補修需要の主流であったニッケルタイプのプラグであっても、性能は日々良くなっているので、すぐに不具合に繋がるということはない。しかしながら、プラグはやはり消耗部品の筆頭格と言えるパーツである。特に近年は、電子制御されたエンジン部位の更なる高度化や環境保全を考慮したアイドリングストップ車の増加など、スパークプラグにとって使用条件は以前より、むしろ厳しい環境下にあると言える。
実際、保証期間であっても定期点検でスパークプラグをチェックしてみると、予想していた以上にデポジットなどプラグに付着した燃えカスによってプレイグニッションを起こす寸前であったり、プラグ発火部に付着したカーボンによってくすぶりが起きたり、電極の角が擦り減って火花が飛びにくくなる(電極消耗)などの症状が見られることがある。このように例え、長寿命タイプのスパークプラグであっても、定期点検と適宜のプラグ交換が必要なのである。そのためにはユーザーごとの使用条件や走行距離による消耗の度合いを測りながら交換を勧めることが重要になってくる。
交換のポイントは付加価値プラグを推奨すること
今回、スパークプラグの点検・交換を記事にまとめるため、整備専業工場の何社かのメカニックにプラグの交換需要について質問してみたところ、「増えている」と答えてくれた2 社のメカニックが奇しくも同じことを話してくれた。それは、お客さまのクルマに標準装備されていたスパークプラグよりも、少しグレードの高い付加価値スパークプラグを勧めているということ。神奈川県川崎市にある整備工場では、それを意識するようになってからスパークプラグの交換率が1.3~1.5 倍増え、当然売上も伸びたとのことだ。「バッテリーやタイヤと違い、スパークプラグの劣化状況を一般のお客さまは自分でチェックすることができません。
そのためエンジンの不具合(点火時)に違和感を覚えた時に初めて、症状を認識する程度です。ですから、プラグについては他の補修部品以上に我々、プロのメカニックが定期点検を含めて、お客さまのフォローが大切なんだと思います。交換するにしても、実際にプラグを外して、磨耗具合を見てもらえば、予防整備で交換に繋がります。また、エンジンとスパークプラグの関係を説明し、どれだけ負荷が掛かっているかを話すと、今、装備しているプラグよりもグレードの高いものをチョイスしてくれることが多いです。
これはやはり、自分でチェックできないので、安心して長く乗るためには、長寿命で付加価値の高いものが良いと判断されるからだと思います。そこで、燃費の話や環境負荷の低減にも繋がることを添えてあげと、価格以上の満足を感じてもらえるようです」という話を聞けた。
また、この工場では法人ユーザーも約5割と多く、走行距離などをコンピュータ管理しており、一般車両より使用条件の厳しい法人車両に関しては、10 万キロの長寿命プラグであっても、7~8万キロを過ぎた辺りから、定期的にプラグの交換の案内DM などを行っているとのことだ。
スパークプラグを整備工場における整備戦略と位置づけよ!!
ここまでの通り、スパークプラグは整備工場にとって決して販売し難い商品ではない。では、何故売れないのか? それは整備工場がお客さまにきちんと提案が出来ていないことが最大の要因と言える。お客さまは、スパークプラグを交換しないのではなく交換するタイミングとその必要性を知らないだけなのだ。プロであるメカニックが自信を持って、交換を勧めればお任せしたいと考えている。予防整備を過剰整備だと怖れているのはむしろ整備工場側なのである。
しかし、中途半端な説明では誤解を生む事になる。今回紹介した整備工場では、どんなお客さまでも一度は必ず説明をし、お客さまに交換するか、もう少しこのまま乗るかを選択してもらっている。その上で、プロのアドバイスをしている。「スパークプラグは、他の補修部品に比べて、説明のポイントもはっきりしていて、交換した時の効果も出やすいですから勧め易いです」とそのメカニック取材の最後に話してくれた。
整備工場はスパークプラグをもっと売る事ができるはず