後継者かく語りき
今から40~50年前の日本のモータリゼーションに合わせて創業した専業整備工場は、そろそろ2代目あるいは3代目にバトンタッチの時期を迎えている。
決して楽ではないこの時代に会社を担っていく後継者は今、何を考え、何を成そうとしているのか?
有限会社ソルオート販売(神奈川県厚木市)
顧客に合わせたコミュニケーションでよりいっそうの地域密着を
オニキスにも加盟し、新車・中古車を問わず車両販売に特化している㈲ソルオート販売におじゃまし、営業を務める和田嘉隆さんに話を伺った。
今でこそお父さまの経営する同社に在籍している和田さんだが、子供の頃に習ったバイオリンをきっかけに音楽の専門学校にも通い、プロを目指してバンド活動をしていたという。
バンド活動の傍ら、元々クルマ好きであったこともあって、同社でアルバイトをしており、平成13年に正社員として入社し現在に至る。ではバンド活動がムダになったかというと、そんなことはなく、実は仕事にも活かせているという。
「隣の地区から、『音楽をやっていたよね、ウチの盆踊りを作ってくれないか?』って言われたんですよ。歌詞は決まっていたので、作曲と踊りも付けてくれと言われて、さすがに踊りは無理だったので人を探しましたけどね」と、作曲家兼プロデューサーの役割を果たした和田さん。この盆踊りがきっかけで、クルマも売れたそうだ。
聞けば、各年代に合わせた接客方法を取っており、年配の方は直接会っての面談、若い方にはインターネットやスマートフォンを通じてのコミュニケーションといった具合に比重のかけ方を使い分けているという。
実際の商談においては、「なかなか予算を明らかにしてくださらないお客さまも多いので、ずばりお聞きした上で、『ローンで中古車を買うなら、同じ予算で新車も安く買えますよ』とか、用途をお聞きするうちに『このクルマでもいいんじゃないですか?』といったように、お客さまの意図を理解した上で、お客さまの立場に立った商談を心がけています」(和田さん)とのことである。
現在の売上台数はピーク時の半分と厳しい状況だが、「生き残るためには飽きずにやることだと思います。時代に合わせて進化させなければならない部分もあると思いますが、お客さまとのコミュニケーションは変わらずに飽きずに続けていくことが大事だと思います。新規のお客さまに入り込んでいくのはなかなか大変です。しかし、今いるお客さまとしっかりとコミュニケーションを取っていれば、『地元でもあるし、お宅で買うよ』という別のお客さまを紹介してくださることもありますから」と和田さんは最後に語った。