整備工場の経営サポーター活用術
質問、従業員同士が喧嘩
社内で従業員同士が喧嘩をして一方が後遺症が残るほどの大怪我をしてしまいました。礼儀がなっていないなどの口論から発展してしまったそうです。労災の給付などを受けることができるでしょうか。また、会社としてはどのように対応すべきでしょうか。
解答、
両者に非がある喧嘩であるなら労災の給付は受けることができません。貴社としては、両者に対し懲戒処分をされるべきかと思います。
労務の観点から
労災保険の対象となるのは、業務上において業務に起因した傷病です。例えば、口頭で注意するような仕事上のミスに対して、唐突に暴行を振るわれたなら、被害を受けた側としては、業務上災害として対象になる余地があります。
しかし互いに口論の末、手を出したとなると私的な闘争と判断され、業務上の災害に該当せず労災の対象外となります。また、健康保険を使用する場合であっても闘争によって怪我などをした場合は、給付制限がされる可能性があります。
従業員に対する処分については、社内で傷害事件を起こしている以上、懲戒解雇とする余地もあるかと思いますが、互いの言い分をよくお聞きの上で処分内容を決定してください。なお、大怪我を負った側の従業員についても手を出していたり、先に喧嘩の原因を作っていたなら、やはり処分すべきであると思います。
コミュニケーションの観点から
社内の喧嘩は、その時のことよりもそれ以前からあったお互いのうっぷんが原因であり、何かのきっかけで、それを爆発させてしまうことが多いようです。
経営者は日ごろから人間関係、コミュニケーションの量に気を配る必要があります
仲の悪い者同士が、お互い直接ぶつからないように必ず誰かを間に挟むようにするなど人事上の配慮も必要です。社内の風通しを良くするという意味で「ベンチレーション(風通し)を狙った個人面談を増やす」といった方法もあります。日ごろから社員全員の考え方や、ストレスについて聴く体制づくりが必要です。
原田 博実(はらだ ひろみ)株式会社エフアンドエム取締役 (JASDAQ4771)
MBA 経営学修士/関西学院大学大学院 経営戦略研究科 修了
関西学院大学特定プロジェクトビジネスマイニングセンター
客員研究員(2007 年~ 2011 年)
主な著書 「スバルだより」(富士重工/ 2011 年より連載)
「整備戦略 経営特集号」(日刊自動車新聞社)
「財務諸表” 寝かせ読み” 速読法」(アスキー新書/ 2010 年)
「“クルマ屋” 経営塾」(日刊自動車新聞社/ 2011 年)