経営サポーター活用術
質問、定年退職した従業員をフルタイムで再雇用したい
1月に60 歳で定年退職する従業員がいます。フルタイムで再雇用したいのですが、嘱託社員ではなく、時間給(パートタイマー)という条件でも良いのでしょうか。その際の社会保険、有給休暇についても教えてください。
解答、従業員からの自己申告を求め、確認を取られることをお薦めします。
フルタイムということであれば、社会保険・有給休暇ともにこれまで通りの扱いとなるのが原則です。定年退職後の再雇用とは、改めて雇用契約を締結することですので、その雇用契約の内容が月給制ではなく時給制になることは、特に法律の制限を受けません。
ただし、就業規則や嘱託規程などにおいて、定年退職後の再雇用時の労働条件を「月給制とする」と明記されている場合は、就業規則に従い月給制とする義務が会社にあることになります。
そうではなく「労働条件については個別に決定する」という旨が定めてあれば、月給制にこだわる必要はなくなります。また、先に有給休暇についてお答えしますが、定年退職時点で残っている有給休暇の権利や、権利付与の基準となる勤続年数については、再雇用後もリセットされることなく引き継がれます。
社会保険については、フルタイム勤務ということであれば、そのまま被保険者としての資格が継続されますが、定年退職後再雇用の場合、資格喪失と同時に資格取得をすることができます。
この手続きは同日得喪と呼ばれ、再雇用後の社会保険料や厚生年金の受給額を、すぐに低下した賃金に応じて変更することができるメリットがあります。なお、60 歳から64歳の方であって老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の受給権者であることが同日得喪の条件となっています。
原田 博実(はらだ ひろみ)株式会社エフアンドエム取締役 (JASDAQ4771)
MBA 経営学修士/関西学院大学大学院 経営戦略研究科 修了 関西学院大学特定プロジェクトビジネスマイニングセンター
客員研究員(2007 年~ 2011 年)
主な著書 「スバルだより」(富士重工/ 2011 年より連載)
「整備戦略 経営特集号」(日刊自動車新聞社)
「財務諸表” 寝かせ読み” 速読法」(アスキー新書/ 2010 年)
「“クルマ屋” 経営塾」(日刊自動車新聞社/ 2011 年)