ライバルに差を付ける付加価値アップ術
早めの提案で夏本番を先取り
競争が激化したアフターマーケットにおいて関連の各業種が多角化を進めた結果差別化がしにくい状況になった。
それでも生き残りのために差別化は必要である。
例えば自動車関連でも季節商品はある。
これを早めに提案するのは一つの差別化になる。
6月のオススメはワイパー交換だけですか?
本業だけでは収益が見込めないとして、ディーラー工場やSS、カー用品店なども一般修理や定期点検といったいわゆるサービスに力を入れているのは言わずもがなである。
ライバルが多いだけに、集客のきっかけづくりにもひと苦労といった情勢だが、集客として堅いのが季節もののサービスである。本誌がお手元に届くのは梅雨本番になるかならないかといった時期である。
梅雨といえば、記念日(6 月6 日)が設定されているように、一般的にはワイパーが売れる時期である。
しかし、ちょっと待った。もちろんワイパーの点検・交換をお勧めするのは重要である。ただし、それだけで終わってしまっては、失礼ながら並みの整備工場で終わってしまう。どこへ行ってもサービス内容が同じという状況下では、いかにライバルとの差別化を図るかというのがポイントである。
今年はエアコンフィルターもプラスして積極的に提案しよう!
そこで今年はもう1 品追加して、お勧めしていただきたいのがエアコンフィルターである。6 月=雨ということで、どうしてもワイパーに目が行きがちだが、よく考えてみて欲しい。雨降りで締めきった車内では、何もしなければガラスが曇りはしないだろうか?その時、エアコンを稼働させはしないだろうか?その時、エアコン(フィルター)がカビ臭かったら、どうだろうか?ということである。
それ以外でも、雨が降ることで多少は落ち着きはするであろうが、昨今騒がれているPM2.5 などの粒子は常に空気中を漂っており、エアコンフィルターはいつ汚れてもおかしくないのである。
ということで、いつ汚れてもおかしくない=常に提案すべきなのがエアコンフィルターの点検・交換であるが、中でもこの梅雨の時期ならではの「カビが生え(てい)るかも」というユーザーも想像しやすいイメージこそが、踏ん切りのつかないユーザーの背中を押しやすい要素でもある。だからこそ、この時期にエアコンフィルターの点検・交換を、早め早めで提案すべきなのである。
入庫の全車両に点検を促し、交換時期まできっちり把握 在庫も完備
ここで実際の取り組み事例を見てみよう。取材したB 社はFC 車検に加盟しているため、入庫台数も多いが、入庫するすべての車両について、エアコンフィルターの点検を漏らさず行っているという。
「エアコンフィルターは交換が必要であること、また交換の目安、そもそもフィルターの存在自体をご存じないお客さまはまだまだたくさんいらっしゃいます。エアコンフィルターの良い所は、交換すればその違いがすぐに体感できることです。たとえば、車検入庫の場合見た目には入庫前と変わらない状態で納車にるケースが多いですが、そんな時にフィルター1つだけでも交換すれば、『エアコンが良くなったね』とお客さまにご満足いただけるのは大きいです。
ご案内のように、当店では1 年を通じて常に入庫車両に対してはエアコンフィルターの点検・交換をお勧めしていますが、中でもスギ花粉の舞う2 月から4 月ですとか、梅雨の時期である5 月末から7 月初めにかけては、話のきっかけとしてお客さまにも提案しやすいので、これらの時期は特に意識して点検・交換をお勧めしています」と店長は語る。特に同店でお勧めしているのが、デンソーのクリーンエアフィルターである。その訳とは?
「対応する車種の幅が広いことですね。ラインナップの9 割方は常備していますが、1 品1 品の対応車種が多いため、対応するフィルターがなくてお客さまをお待たせするということもありません。在庫スペースも少なくて済むのも助かります。加えて、汎用フィルターであるため、交換がしやすいのもポイントです。そのため当店では工賃もいただいていないほどです。エアコンフィルターは効果を体感しやすい商材だと申しましたが、それを確認できる販促ツール(上写真)があるのもお客さまの納得を得やすいのでありがたいです」といいことづくめだ。
エアコンフィルターは1 年1 万km という交換目安があり、接客頻度を上げるためにも重点商材といえる。ライバルが仕掛ける前に、早めの提案を。