せいび界2014年4月号再アップ
「サービス」という言葉を聞いて、どんなことをイメージするだろうか?
お客さまに何かをやって差し上げるというのはサービスだし、それに対価を求めるのがサービス業である。
一方、「○○サービスしとくよ!」といった場合のサービスは、特に「無料で」何かを差し上げる、あるいはして差し上げるという意味合いを持っている。この場合のサービスは、
「お客さまを大事に思う気持ち」があって初めて成立するものではないだろうか?
先日、2歳になる息子の誕生日祝いの食事会を某ファミレスにて開いた。そこを選んだのは、今ではよく見かける誕生日祝いの「サービス」があるからで、記念写真撮影とデザートが1品「無料で」付いてくる。
祖父母(私の両親)も交えての和やかな食事会であったが、その記念写真の撮影の際に事件は起こった。主役の息子が、まあ2歳だから仕方ないといえば仕方ないのだが、なかなか落ち着かず、担当の女性店員はシャッターを押すタイミングがつかめないでいた。
それを捕まえて、その店員は、いかにも「こっちは忙しいのだから早くしてよ」といった表情を見せた上に、何とか撮影した写真の仕上がりを見ると、親子3人の顔の向きはバラバラ、カメラを向いているのは私だけという状態なのだった。
「今やモニターが付いているデジカメが当たり前なのだから、その場で確認して撮り直してくれてもいいんじゃないの?」と、その場に居合わせたみんながみんな思った。取りあえずその場は、逆に記憶に残る誕生日(祝い)だったでしょということで収めたが……。
たしかに、我々が食事をしたのは日曜の昼という、まさに書き入れ時の時間帯であった。それ故に、「こっちは忙しいのだから……」という気持ちも分からないでもない。
しかし、それは客には関係のない事情であるし、それを差し置いても客優先で動くのが本来の店、サービス業としてのあり方ではないだろうか? 無料サービスに時間の限定がない以上、いつでも快く対応するのが筋ではないだろうか?
それでも忙しい時間帯にだけは勘弁して欲しいというのであれば、「土日のランチタイムには無料サービスをご遠慮させていただきます」とか、「混雑時の記念撮影は有料にて承ります」などと明示すべきである。もっとも、こんなルールでは誰も寄り付かなくなってしまうだろうが。少なくとも私はもう、この(系列の)店で誕生日サービスを受けようとは思わないし、極端な話、食べにすら行こうとは思わないだろう。
たまたまこの店員がそうだったのか、それとも全員が全員そうだったのかは分からないが、先ほども触れたように、そもそもなぜ無料サービスをやるのか? ということが理解できていなければ、何をやっても同じことの繰り返しである。
「お客さまのためにこれぐらいのことは喜んで無料でやりますよ」と思うのか、「どうせ無料なのだから、この程度の応対でいいでしょ?」と思うのか、後者の気持ちでやるなら、かえって逆効果。むしろやらない方がましだ。
御社の「サービス」はいかがだろうか?