一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 第45回「整備需要等の動向調査」集計結果

整備売上、入庫台数、景況感は上昇
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(竹林武一会長)は、自動車整備事業場を対象とした、第45回「整備需要等の動向調査」の集計結果を発表した。
本調査は、自動車整備事業場における整備需要等の動向について、直近6ヶ月間における業績及び向こう6ヶ月間の業績予想を把握することにより、自動車整備業界の発展に資するために、平成8年7月から半年ごとに実施しているものである。
今回の調査は全国の整備専業認証工場、同じく指定工場、そしてディーラー工場を対象に、平成30年7月に実施された。有効回答数は932で、全国の整備工場の約1割に該当する。

調査結果を見る上での指標 実際の景気動向は改善で推移
今回の調査は平成30年7月時点の調査(平成30年1月~6月の6ヶ月間)であり、次の点に注目する必要がある。
・ 実質GDP成長率(内閣府・1次速報値)は、対前期比1 ~ 3月期▲0.2%、4 ~ 6月期+0.5%。(名目GDP成長率は、対前期比1 ~ 3月期▲0.4%、4 ~ 6月期+0.4%)・ 1月~ 6月の家計消費支出(家計調査・総世帯、2四半期合計)は、対前年同期比+0.9%。自動車維持費は+8.6%で、その主な内訳はガソリン+13.8%、自動車等部品・関連用品+19.2%、自動車整備費+8.5%。・ 1月~ 6月の景気動向指数(CI一致指数)の基調判断は、「改善」で推移。

 

今期の総整備売上高DI※1総入庫台数DIは共に前期マイナス
今期(平成30年1月~ 6月)の総整備売上高DIは▲18.6ポイントで、前期(平成29年7月~ 12月、▲9.5ポイント)に比べて9.1ポイント低下した。一方、総入庫台数DIは▲22.6ポイントで、前期(平成29年7月~12月、 ▲12.7ポイント)に比べて9.9ポイント低下した。
業態別では、専業認証(売上▲2.3ポイント、入庫+0.2ポイント)、専業指定(売上▲14.3ポイント、入庫▲20.3ポイント)、ディーラー(売上▲8.1ポイント、入庫▲6.0ポイント)と、売上高DIは全ての業態で低下。入庫台数DIは、専業認証は上昇(ただし微増)、専業指定とディーラーが低下。両DI共、低下幅は専業指定が大きい。
先述のように、経済指標(GDP成長率、景気動向指数等)では、景気は緩やかな回復基調を示しているが、家計に於ける消費支出は抑制傾向が続いている。
経済指標によると、景気は緩やかな回復基調で推移しており、自動車整備関連の消費支出も増加していることから、両DI共に低下した要因としては、整備需要のベースとなる継続検査台数が前期に引き続き減少※2したことにより、主として車検整備の売上高が減少したためと推測される。
ディーラーが専業指定に比べてDI低下幅を小幅に留めた要因としては、メンテナンスパック等の積極的な提案営業に加え、高い技術力が求められるハイブリッド車の保有台数増加が影響していると推測される。

※1 DI=プラス成長と回答した事業者の割合‐マイナス成長と回答した事業者の割合
※2 継続検査対象台数は保有台数と相関があり、 近年は1年おきに山・谷を繰り返している。
① リーマンショック(平成20年9月)
② エコカー補助金(平成21年4月~平成22 年9月、平成23 年12月~平成24 年9月)
③ 東日本大震災(平成23年3月)
④ 消費税増税(平成26年4月)
⑤ 軽自動車税増税(平成27年4月) 等による新車販売台数の増減が影響している。

 

来期予想は総整備売上高DI 総入庫台数DI共に上昇
来期(平成30年7月~ 12月)の予想総整備売上高DIは▲22.8ポイントで、前期(平成30年1月~ 6月、 ▲25.0ポイント)に比べて2.2ポイント上昇した。一方、予想総入庫台数DIは▲23.3ポイントで、前期(平成30年1月~6月、 ▲25.9ポイント)に比べて2.6ポイント上昇した。
業態別では両DI共に、専業認証(売上▲1.2ポイント、入庫▲2.0ポイント)と専業指定(売上10.6ポイント、入庫▲9.3ポイント)は低下、ディーラー(売上+21.0ポイント、入庫+20.9ポイント)は上昇した。
専業事業者は、景気の先行きを不安視して業績低下を予想していることが、ディーラーは、来期は継続検査台数の増加が見込めるため上昇を予想していることが推測される。
整備業界全体の景況感DIは上昇したものの依然マイナス
今期の整備業界全体の景況感DIは、▲51.4ポイントで、前回調査時(平成30年1月、 ▲49.3ポイント)に比べて2.1ポイント低下した。業態別では、専業認証(+7.1ポイント)は上昇したものの、専業指定(▲8.6ポイント)とディーラー(▲1.0ポイント)が低下しており、概ね今期の調査結果と一致していると考えられる。
第26回を底に上昇傾向にあるもののDI自体は大幅なマイナスで推移しており、過半数以上の事業者は業界の景気は悪いと感じている。

 

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