一般社団法人東京都自動車事業振興協会(板橋一男会長、以下東自協)主催の第3回 業界問題座談会は、去る8月3日(金)午後3時より、東自協事務局にて開催された。
板橋会長、渡辺副会長、和田専務理事の三役の他、緑川理事、大貫理事、の他、本誌代表入村の7名が出席した。
まず、板橋会長より、「本日は何かとご多用のところ、第3回業界問題座談会にご出席いただき、ありがとうございます。短い時間ですが、業界問題を自由討議として取り組み、諸問題並びに社会的事象についても意見を表してまいりたい思いもございますので、活発なご議論を頂戴できればと思っております」との挨拶で始まった。
そして和田専務理事の、「私事ですが、病気入院してご心配をいただいたため、去る3月9日の第2回業界問題座談会から進行が遅れたことをお詫び申し上げます。本日の議題は継続して2点に絞っております。自由討議(1)の公正取引委員会への陳述書について、進行状況の確認が主目的であります。また(2)の議題、継続審査のワンストップサービス(OSS)に関しては、座談会を通じて疑問点等、提出した資料を参考に、ご意見をいただきたいと思います」との言葉でスタートした。
議題(1) 公正取引委員会への陳述書
「せいび界4月号」に掲載しているように、弁護士法人から「独占禁止法違反に該当する事案であり、公正取引委員会の判断を仰ぐ必要がある」との助言を得て、詳細な陳述書の作成、提出に至っていることはご存知の通りです。その陳述書を受けて、公正取引委員会から、現在は裏づけとなる詳細なデータ、証拠物など内容照会があり、去る3月に回答した文面はご覧いただいている通りです。
概略を申し上げますと、現在東整振が実施している、 ① 自動車整備士の技術講習は二種要請施設の指定を取得しているため、事業者は会員メリットを得られる。 ② 整備主任者研修など、法令研修は国から委託を受けて実施している。
当協会では、去る平成26年に当時の大岩会長名による整備主任者法令研修会の開催依頼分を当局に提出して開催したが、地域教材の関東ブロック会研修教材は東整振側より販売拒否が実行された。その後の平成27年度以降は法令研修は休止となっています。以上の補足回答の結果については、まだ公取協が法律事務所を通じて検討中なので、分かり次第、会員事業者、役員の皆さまにお伝えいたします。
議題(2) 継続検査OSSについて
「せいび界4月号」でも紹介しましたが、全国の利用状況には大きなバラツキがあり、それを示すデータから県別で見ますと、指定工場の登録事業場で最高地域は山形県の86.09%、最低は室蘭地区の8.38%と大きなバラツキがあり、全国平均で見ても43.24%と、進んでいるとは言えない状況です。
この数字は、指定工場のうち保適証サービスを利用すると登録した事業場の割合であり、今すぐに登録しても不便をかこつだけですから、当協会としても会員に促す説明会をすぐに開催する準備はしておりません。いくら経費がかかるか判明していないことも、躊躇している理由です。
また、もう1つすぐに動くことをためらっている理由は、OSSを採用するには指定工場の諸規程を手直しする必要があることと、ユーザーにも了解を得ないといけない部分があるからです。国交省は「簡素化」を謳っていますが、取り組む指定工場はかなり負担が増すことも懸念材料であり、すぐに登録しましょうと勧める説明会を開催しない大きな理由がここにあります。委員の皆さんのご意見がございましたら、お伺いしたいと思います。
その他の議題
日経ビジネス誌の車検記事 車検予約業務について
日経ビジネス誌が、今年の5月号で「車検ビジネス5兆円市場で見た闇」という記事を掲載して大きな反響を得たようです。その内容を本日の資料として添付しています。記事では、車検料金がカーディーラー、専業工場、ガソリンスタンドなどでなぜ大きく違うのか?の疑問を呈し、その原因の1つが「部品交換の基準が曖昧なため、整備工場ごとや判定する整備士ごとに部品交換の基準が異なり、結果的に価格の差に繋がっているなど、不透明な料金体系、そしてユーザーが比較検討できる選択肢が狭いことも問題ではないか?」などと指摘しています。
また、「巨大な車検ビジネスには” 官”も巣くっており、重量税の印紙販売手数料、保安基準適合証に上乗せされている会費などで、年に数億円の利益を得ている」とも言及しています。それには「既存の車検制度の見直し、簡素化が必要」など、改めて車検制度、仕組みなどの再検討を促す記事となっています。
当協会では、去る平成29年3月に会長名を以って、独立行政法人自動車技術総合機構の理事長名宛て持込車検予約業務の取扱いに関して書面を発信しています。