一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会(栗原裕之代表理事)は、同協議会加盟の11団体に加盟しているリサイクル部品販売事業者に対して、毎年行っているリサイクル部品の市場規模調査を本年は5月に実施した。
これを受けて去る7月3日には、平成31(令和元)年の調査結果を発表した。過去4年分と比較して、市場規模はどう変化しているのか、詳しく見ていこう。※グラフはすべて31(令和元)年
国内市場は75,594百万円 海外市場は30,127百万円
平成31(令和元)年の調査結果では、リサイクル部品の総売上は109,608百万円と前年を上回ると共に、1,000億円に到達した(グラフ1)。また、国内リサイクル部品売上は75,594百万円と前年に比べて増加となった(グラフ2)が、輸出リサイクル部品売上も30,127百万円と前年を上回る結果となった(グラフ3)。
グラフ1
グラフ2
グラフ3
グラフ4
グラフ5
下段の表は、同調査の平成26年度、27年度、29年との比較である(29年より調査期間がそれまでの年度から暦年に変更となり、切り替え時期の関係で28年のデータは公表していない)。
国内 | 1億円未満 | 2億円未満 | 3億円未満 | 4億円未満 | 5億円未満 | 10億円未満 | 10億円以上 | 全体合計 | 1社当たり | 対象 | 回答 | |||||||||
26年 | 70 | 38% | 36 | 20% | 24 | 13% | 21 | 11% | 9 | 5% | 16 | 9% | 7 | 4% | 48,099百万円 | 263百万円 | 442 | 183 | ||
27年 | 73 | 30% | 41 | 17% | 48 | 20% | 35 | 15% | 16 | 7% | 18 | 8% | 9 | 4% | 68,290百万円 | 285百万円 | 475 | 240 | ||
29年 | 77 | 32% | 47 | 20% | 39 | 16% | 35 | 15% | 14 | 6% | 23 | 10% | 5 | 2% | 63,781百万円 | 266百万円 | 473 | 240 | ||
30年 | 69 | 29% | 51 | 22% | 41 | 17% | 26 | 11% | 17 | 7% | 22 | 9% | 9 | 4% | 74,042百万円 | 315百万円 | 520 | 235 | ||
31年 | 86 | 33% | 54 | 21% | 37 | 14% | 36 | 14% | 17 | 6% | 22 | 8% | 11 | 4% | 75,594百万円 | 287百万円 | 510 | 263 |
輸出 | 0円 | 1億円未満 | 2億円未満 | 3億円未満 | 4億円未満 | 5億円未満 | 10億円未満 | 10億円以上 | 全体合計 | 1社当たり | ||||||||
26年 | 84 | 46% | 61 | 33% | 25 | 14% | 4 | 2% | 3 | 2% | 2 | 1% | 3 | 2% | 1 | 0.5% | 12,741百万円 | 58百万円 |
27年 | 67 | 26% | 119 | 50% | 25 | 10% | 15 | 6% | 5 | 2% | 6 | 3% | 2 | 1% | 1 | 0.4% | 18,724百万円 | 78百万円 |
29年 | 68 | 28% | 119 | 50% | 30 | 13% | 7 | 3% | 5 | 2% | 4 | 2% | 4 | 2% | 3 | 2% | 21,104百万円 | 88百万円 |
30年 | 48 | 20% | 128 | 54% | 29 | 12% | 11 | 5% | 10 | 4% | 2 | 1% | 5 | 2% | 2 | 1% | 20,068百万円 | 85百万円 |
31年 | 55 | 21% | 128 | 51% | 29 | 14% | 16 | 6% | 10 | 4% | 1 | 0% | 8 | 3% | 3 | 1% | 30,127百万円 | 115百万円 |
※集計期間が27年までは年度、29年以降は暦年単位で行っている。そのため、切り替え時期に挟まれた28年のデータは公表していない。
平成26年だけは回答社が183社と少ないため、1社当たりの売上金額で比較してみると、平成31(令和元)年の国内リサイクル部品売上は前年から約30百万円減少しているのに対し、同じく輸出リサイクル部品売上は逆に約30百万円と増加していることが分かる(表、上段右から3列目(国内)、下段一番右の列(輸出))。
インターネット売上は部品総売上に対して前回と変わらず約6%
回答した業者のほとんどはBtoB、つまり修理工場を相手にリサイクル部品取引を行っているが、近年では一般ユーザーも閲覧することのできるインターネット上での取引(Yahoo等)も展開している業者も多数見受けられる。
そのため、前回の調査から、部品総売上におけるインターネット取引の割合も調査しており、平成31(令和元)年は売上金額6,614百万円、部品総売上に対して約6%を販売している(回答263社の総合計)。
総売上に占める割合は前回調査と変わっておらず、リサイクル部品におけるインターネット利用率はまだまだ高くないことが分かる。ただし、今年に関してはコロナ禍による外出自粛に伴って、インターネットショッピングの利用は高まっていると見られており、次回調査ではどこまで占有率が伸びるが注目である。
使用済み自動車入庫に伴う数字は軒並み増加
使用済み自動車の入庫台数は前年の120万台から140万台に、支払ったリサイクル料金は前年の16億8千万円から42億9千万円と、いずれも増加で、リサイクル料金は特に伸びが大きい。
これは、今回の調査より計算方法を変更した影響であり、事務局によれば「これでより実態に近い数字が出せるようになった」とのことである。