人手不足に悩む企業へのヒントがここに

 岩手県胆沢郡に本社を構える株式会社サンケイ商会(代表取締役=紺野正博 以下、サンケイ商会)は「地球環境保護」を念頭に置き、全国規模のリサイクル団体立ち上げに尽力するなど、全国の志を同じにする多くの企業と手をつなぎ、資源・環境問題を常に考えながら使用済み自動車の再利用・適正処理に取り組んでいる。

 今回はそんなサンケイ商会の2代目である専務取締役の紺野泰輔氏にお話を伺った。

 

食べて-生き延び-明日につなげるため

紺野「私たちの主な業務は、リサイクルパーツとリビルトパーツの製造販売、廃車引取業務になります。現在は環境問題への関心の高さからリサイクル企業への評価も上がってきておりますが、上の世代の方から見れば解体、スクラップ屋といったイメージがまだまだ抜けきらない業種です。そんな中でもサンケイ商会、また同業他社様を選んでくれた方々は、皆仲間だと思っております。

 私たちの仕事は一人一人のスキルが会社の利益に大きく影響します。だからこそ適性を見極めなければなりません。これは実際にあったことですが、知識が豊富なベテラン作業員にフロント業務を任せるよりも、若い社員に任せた方が業績が上がったのです。

 これはベテラン作業員の方に適正が無かったというわけではなく、若い社員の方がお客さまのニーズにより適した対応をできていたからです。他にも担当業務そのものが合っていないのではないかと他の業務を任せたところ、成績が上がった者が何人もいます。

 人は皆得手不得手があります。それ故に何かができないからと切り捨てるのではなく、他の可能性を模索しなければなりません。

 私たちの仕事はお客さまに安く質の良いパーツを届けるだけではなく、限りある資源を有効活用し地球環境保護に貢献することができる、やり甲斐のある仕事です。しかしそれを成すためには仲間たちがご飯を食べることができて健康に生活できるという当たり前のことが必須条件です。そんな当たり前を続けていくために仕事に取り組んでいます。」

柔道採用!?

紺野「弊社の採用方法には、少し特殊なのですが柔道採用というものがあります。

 弊社には柔道部があるのですが、その設立の理由は私の父(代表取締役 紺野正博氏)が柔道好きだからというものです。

 この柔道好きというのは、観戦が好きということではなく大会に出て優勝を狙うレベルの好きで、実際に岩手県実業団柔道大会で三連覇を達成しているほどです。私自身、『実は仕事よりも柔道の方が大事なのではないか?』と幼心に思ったこともあるくらいです。

 それくらい本気の柔道部なので、弊社に就職を希望する目的が柔道部という者も実際にいます。また地域の子供達にも弊社の社員が柔道を教えているので、そこからの繋がりで入社に至ることすらあります。

 お話した通り柔道採用といっても、成績優秀な柔道家を採用するものでも、新入社員採用のために狙って設けたプランでもありません。ただ趣味が高じ、地域貢献をしていた中で生じた副次的効果なのです。

 しかしそこから生まれた縁でできた「絆」は、とてもポジティブなモノなので大切にしていきたいと思っています。この仕事は体力勝負なところもありますし、何より柔道の厳しい練習を経験してきた仲間でもありますから(笑)」

 企業を運営していく上での理念や、業界で常に問題となっている人材問題についても語ってくれた紺野泰輔氏。

 なお現在困っていることは、柔道経験者など現場作業(ハードウェア)に強い人材はよく来てくれる分、PCなどのソフトウェアに強い人材がなかなか来てくれないことだというが、「こればっかりはしょうがないですね」と苦笑いしながら話してくれた。

 そのため柔道だけではなく学生時代にPCの情報処理を学んでいた文武両道の紺野泰輔氏が自ら、社内インフラなどの整備に尽力しているとのことである。

 必ずしも柔道に限らないが、こうして自社ならではの特長を出すことは、人材確保に悩む企業にとって大いにヒントになるであろう。

専務取締役 紺野 泰輔氏

 

 

株式会社サンケイ商会

本社

〒029-4503

岩手県胆沢郡金ヶ崎町西根中荒巻21-1

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