JARAグループ(土門志吉会長)は、去る9月2日から4日の3日間、あいおいニッセイ同和自動車研究所の東富士センターにて、「2019 生産管理者・フロントマンStep1研修」を開催した。
今回の研修は、既存でラインナップしていた生産管理者・フロントマン研修のカリキュラムを初日と3日目に配置し、間の2日目に「あいおいニッセイ同和損保開催の鈑金塗装体験セミナー」を取り入れるなど、リサイクルパーツ流通の基本知識と全国実務者例会でも講演した、「お客様への商品提案力の知識習得や生産指示の効率化」を目的として実施されたもの。
研修には全国から6社8名+1名(鈑金塗装体験セミナーのみ参加)が集まり、生産・フロント業務で重要な商品の選択と、実践的な説明方法等について学んだ。筆者は初日の、業種特化のカリキュラムに入る前の導入部分のみを取材したが、このパートだけでも非常に特徴的な研修であることが感じられた。
一方的に知識を押しつけて終わりというのではなく、参加者の意見1つ1つを丁寧に汲み取り、それをベースに進行するという形式で講義は進んだ。
カリキュラムとしてはJARAグループの三大信条のパートであったが、この中にあった「信頼」をキーワードとして、講師を務めた渡邊寛樹教育部長は「自分が信頼する人、会社とは何か?また、なぜ信頼しているのか?」といったことにまで踏み込んで質問を投げかけ、信頼とはこういうものであるという概念を導き出した。
同様にして、「良いリサイクルパーツとは何か?」という質問を投げかけ、「良いリサイクルパーツ」の定義を導き出すと共に、強み・弱みを分析するのに多用されるSWOT分析を用いて受講生自身の強みと弱み、自社の強みと弱みを分析した。
話が前後するが、開催に当たって挨拶に立った渡邊部長は、挨拶の途中で「今、この瞬間でもメモを取る人、取らない人がいます。チャンスは平等に与えられますが、この差は結果に大きく表れてきます」と引き合いに出し、そこに至るまでに発表されたこの研修の目的を受講生の何名かに問うた(結果は推して知るべし)。
この問いは受講生が真剣に取り組む姿勢を引き出すことに成功し、その後の講義へと繋がって行った。一旦、自身の担当パートを終えた渡邊部長に話を向けると、この後、実務に関連する内容を講義するのはもちろんのこと、仕事を通じていかに自己実現に繋げていくかという部分にまで踏み込むことを教えてくれた。
職能別の研修というと知識の詰め込みに比重が置かれることも多いが、少なからず人間形成にまでカリキュラムが及ぶのは、なかなかに珍しい。これが渡邊部長のカラーなのかもしれないが、それとて研修・勉強会に重きを置いているJARAグループの精神があればこそなのではないかと感じられた。