自動車リサイクル潮流1

自動車リサイクルの潮流 第99回:中古車の国内移動の推移:首都圏を事例に

5.首都圏からの中古車国内流出台数

 図2において、中古車国内流出台数の全国合計のうち、4割程度が首都圏8都県からのものであることが分かった。つまり、首都圏は中古車国内流出の起点として重要である。ただし、首都圏からの中古車国内流出台数は、首都圏内に流出している数量も含まれる。東京都においては、1983年は73%、2017年は56%が首都圏内の流出だった。

 図8は首都圏8都県からの中古車国内流出台数と首都圏内への流出の割合を示したものである。これを見ると、東京都と同じく首都圏内への流出が大多数であることが分かる。ただし、1980年代の72%から直近の2017年は56%になっており、首都圏外への流出の割合が増加し、より広域化している様子が感じられる。

図 8 首都圏からの中古車国内流出台数と首都圏内への流出の割合

自動車リサイクル潮流8

出典:『自動車統計データブック』各年版より阿部新作成

 

 図9は、首都圏の中古車国内流出台数について、首都圏外向けの数量の割合を見たものである。上記通り、首都圏の中古車国内流出は首都圏内が圧倒的に多いが、それ以外では、東北や中部など近隣地域が比較的多い。

 図9では、2003年の管轄区域の変更を考慮していないため、東北、中部、新潟・北陸信越の管轄県は2002年までと2003年以降では異なる。中部は、2003年以降は石川県、富山県が除かれており、その割合が減少してもおかしくはないが、むしろ増加している。一方で、沖縄のようにその割合が小さくなっている所もある。

図 9 首都圏外への中古車国内流出台数の地域別割合(関東を除く)

自動車リサイクル潮流9

出典:『自動車統計データブック』各年版より阿部新作成

注:「東北」の対象県は2002年までは宮城県、福島県、岩手県、青森県であり、2003年以降はこれらに秋田県、山形県が加わっている。「新潟・北陸信越」の対象県は2002年までは新潟県、長野県、山形県、秋田県であり、2003年以降は新潟県、長野県、富山県、石川県である。「中部」の対象県は愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県、石川県、富山県であり、2003年以降はこれらから石川県、富山県が除かれている。

 図10は、2017年の首都圏からの中古車国内流出について、首都圏外の道府県に注目し、その台数が1万台以上の流出先を抽出したものである。これを見ると、多くて愛知県で3万台である。

 首都圏内の流出先では、東京都が8万台、埼玉県が7.6万台、神奈川県が6.9万台である。それらと比べると首都圏外への数量は多いとは言えないが、静岡県や福島県などの近隣県のほか、愛知県、北海道、福岡県などの大都市に流出していることが分かる。

図 10 首都圏からの中古車国内流出台数(首都圏外主要道府県別、単位:台)

自動車リサイクル潮流10

出典:『自動車統計データブック』各年版より阿部新作成

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