自動車リサイクル部品の認知度は年々向上している。単に団体や整備工場等が告知をしているだけでなく、一般ユーザーが賢くなっているという点も考えられる。ユーザーが賢くなった理由はインターネットの普及は当然のことながら、異業種やECサイト等でのリサイクルパーツの取り扱いが増加したことが理由として挙げられる。ECサイトと言えばNGPのアマゾン、ブロードリーフとの連携やジャプラのヤフオク連携などが目に付く。リサイクルに限定しなければ楽天やモノタロウといった用品販売サイトも積極的に露出を拡大している。様々な形でリサイクル部品は一般ユーザーに認知されている。とりわけ一般ユーザーの中でもリサイクルパーツを積極的に使う層が多く集まるイベントの1つであるお台場旧車天国などはフリーマーケットなども開催され、ユーザー間でも取引が行われる。そんなイベント中に大手リサイクル団体である㈱JARAが出展し、来場者に向けてリサイクルパーツについてのアンケートを行った。とても興味深い結果となったため、編集部でもそれに合わせてリサイクルパーツの認知度や意識について調査を行った。
意識調査による回答
さて、編集部で行った調査は高速道路サービスエリア内にて一般ユーザー30名ほどに対して行い、リサイクルパーツの使用履歴、使用した感想等を伺った。修復暦がある車種のユーザーに質問をしたので良くも悪くもリサイクルパーツに対しての認知度は高かった。
Q.1 リサイクルパーツをご存知ですか?
はい…100%(回答32名)
Q.2 リサイクルパーツを何処で使いましたか?
修理案件で利用…90%(28名)
自分でカスタマイズ用…10%(4名)
Q.3 リサイクルパーツに対して漠然と持っているイメージは?
良い…30%(9名)
悪い…70%(23名)
Q.4 良い部分はどこでしょうか?
値段…70%(23名)
品質…5%(2名)
在庫…20%(5名)
その他…5%(2名)
■ Q.4に関するコメントの紹介
① 絶版部品を探す際は絶対に欠かせないのが中古部品
② 品質にはバラつきがある
③ 欲しいと思えば値段は関係なくなる
④ 新品の半額ぐらいで販売されているから使い易い
Q.5 悪い部分はどこでしょうか?
品質…70%(23名)
値段…10%(3名)
その他…20%(7名)
■ Q.5に関するコメントの紹介
① 整備工場に部品を発注して貰ったが酷い目にあった(モノが悪くて返品と代品を繰り返した)
② 保証がついているということだが、何か問題があった時は使用者側の責任にされそう
③ エコということを全面に押し出していたが貧乏臭い
④ いくらキレイにしたからといって事故車から外した部品と考えるとイメージは悪い。正直「使った」と近所の人には言いにくい
⑤ 専門の業者もいるようだが、もしかしたら騙されていないか不安になる(新品と違い疑いの目で見ている)
⑥ キズがあるのは分かるけどキズのつき方等分かりにくい
⑦ いくら中古でも商品じゃないようなものまで流通されていて憤慨だ
■ その他のフリーコメントの紹介
① これまで3回ドアなどパネル類を交換したことがある。色味が若干違うと聞いていたが、大幅に違った。
何故こんなことが起きるのかが分からない
② 電装品は見てくれも悪くてアルミが腐食しているようなものは例え中に問題が無くても問題がある気がする
③ 中古部品を生産している解体工場のイメージは悪い。近隣の工場も何をやっているか分からない
④ 何でもいいから直す時に使い、しっかり直す時は新品を使う
⑤ 中古部品がどういうものか分からない人にはオススメ出来ない、自分はいいが家族の車には使わせたくない
⑥ 単純に品質は信用出来ない
⑦ アップガレージで買ったことがあるが、余りモノが良くなかった
⑧ 安いだけで新品と比較するようなものではない
⑨ 新品との違いは何処にあるのか分からない、中古部品とはいえ、新品よりも優れている部分があるならそれを知りたい
⑩ 在庫が有ったり無かったり使いにくい側面を持っている。有ったとしても直ぐになくなるなど不安定過ぎる
⑪ 低年式、絶版車の部品を集めて欲しい
⑫ テストをしているのか不安
⑬ ネットショッピングと同じ要領で買うことも出来るが、現物を見ないで買うのは抵抗がある
⑭ 業者(整備工場)に任せて届いた部品を見たが、話と違う物が届き、いい加減な仕事をしている感じがした
⑮ リサイクルパーツという呼び方よりも中古部品の方がしっくりくる(回答多数)
リサイクルパーツに対する要望
① もっと身近に買えるような場所を作って欲しい
② 一定の基準を作って欲しい、在庫
の有無に対するルールなどを作って欲しい
③ どこに気をつけて買えばいいのかなど、中古部品利用のガイダンスが欲しい
④ 整備工場ももう少し分かりやすく伝えて欲しい
⑤ 車検の時に使った部品(ドライブシャフトと思われる)が極端に安くて不安になった。安いのは助かるが、安い理由が企業努力と言われるとそれはそれで不安になる
⑥ 整備工場と中古部品を作っているところの連携みたいのをもう少し出来たらいいと思う
⑦ 中古部品だから仕方が無いと整備工場に言われたのだが、非常に腹立たしい。何でも中古だからいい、新品だからいいというのはおかしいと思う
総 括
整備工場にとってリサイクルパーツは収益を上げる部品として浸透している。リビルトパーツに至っては新品同様以上の性能を持ち、ユーザーに対して提案し易いだろう。アンケートからは満足度は高いながら、不安も明確にあるのが見えてきた。キズの説明1つとってしてもユーザーに伝わるように整備工場が伝えているか、という疑問もある。やはり商品に対する信憑性に欠ける点が不安として目立ったことから、「中古部品だから仕方がない」ということを免罪符として、使う側もある程度は理解を示す必要がある。もちろん、リサイクルパーツだから仕方がないで済ませる内容でないことも往々としてある。だからこそ、信頼出来る自動車リサイクル業とお付き合いをすることを勧める。手前味噌になるが、本誌を配っているような会社であれば信用に足る会社であるといえる。この情報化社会に本誌という媒体に価値を見出し、営業ツールとして使うということは読者である整備工場と繋がり続けたいという表れでもある。本誌の正しい使い方であるコミュニケーションツールとして活用している会社と繋がることは自社にとって価値のあることだと認識して頂ければと思う。
また、全く違う観点ではあるが、リサイクルパーツという呼称を一般ユーザーは中古部品と呼ぶことが多かった。直訳すればユーズドパーツなのだが、まだまだ自動車がリサイクルされるということ自体に認知が少ない点が伺える。呼び方1つではあるが、リサイクルパーツと中古部品とではイメージが異なるだろう。こういったイメージばかりが先行してしまい、使ったことが無いケースもあるので、先入観を自分自身はもちろん、お客さまである一般ユーザーにも伝えていくことが整備工場には求められているだろう。