~専門資格を作り、技術力強化と業界の地位向上を目指す~
自動車リサイクルのページ
せいび界2013年2月号
環境問題や資源問題が叫ばれるようになって久しい現在、自動車リサイクル業界も大きな変革期を迎えようとしている。年間300万台の使用済み自動車が国内で発生しているが、輸出などを含めると400万台~ 500万台とも言われている。
また、ハイブリッド車に代表される先進自動車の使用済み自動車も保有台数の急激な増加に併せて増えてきている。こうした状況からも、自動車リサイクル業界にも技術革新、経営改革といったイノベーションが必要な時代になってきた。
資格制度で技術者養成に力を入れる
こうした業界の環境変化に対応すべく、自動車リサイクル業者の全国組織、日本ELVリサイクル機構(河村二四夫代表理事、以下ELV機構)は、新たな時代に対応した自動車リサイクル業界の基盤を構築すべく、「自動車解体士」資格制度の新設に向けた取り組みを開始している。
現在、ELV機構では、各会員企業の技術者養成を目的に全国各ブロックにおいて「インストラクター制度」を敷いている。これは、ELV機構で講習を受けた各企業の社員が、その地域のインストラクターとなって後進指導に当たるもので、リサイクル業界に新たな就職した人に自動車解体のノウハウについて地域ごとの団体講習で技術力を身につけてもらう、企業研修のような仕組みである。
ELV機構では、今後この講習会を「ELV機構認定講習会」と整備し、この講習の修了者はそれぞれの講習により、「自動車リサイクル管理士(管理者)」「自動車解体士(実務者)」として、ELV機構が認定する仕組み作りを進めて行く。
◎ 解体士制度設立の目的
ELV機構では、この講習会を所轄の自治体に「認定講習会」として認知してもらい、最終的には「自動車解体業許可における認定講習会」としての地位を確立することを目的としている。
◎ 自動車解体士制度の概要
認定資格は、「自動車リサイクル管理士(管理者)」「自動車解体士(実務者)」の2つで、管理士は自動車リサイクルに関する全ての知識、技能を網羅した資格で、事業場を認定するもので、経営(管理)者を受講資格者とする。解体士は電子マニフェストを含む技能を認定する実務者向け資格として、現場作業者を受講資格者とする。
また、この解体士制度は最終的に自動車整備士のような国家資格まで昇華させていきたいと考えている。リサイクル業界の新たな動きに注目したい。