■部門別の売上構成比は?
石井 素材30%、貿易30%、国内30%、用品&修理10%のバランスを目指していますが、現状は素材35%、貿易35%、国内と用品&修理で30%です。
従って、今後、伸ばして行きたいのは国内と用品&修理です。
手間は掛かりますし、知恵も必要ですが国内部品販売や中古車販売を伸ばしていくことで新たなマーケットを創造したいです。
■中古部品の販売は?
石井 コンピューター制御の自動倉庫に常時、2万点以上の中古部品を在庫しています。ビックウェーブ等に加盟しており、同グループ等のオンラインネットワーク在庫から、顧客ニーズにぴったり合ったリサイクル部品を検索することも可能です。
この他、ヤフーオークションにも出品しています。
■本社にタイヤショップも併設されているが?
石井 一般ユーザーのニーズを掴むためのアンテナ・ショップとして「エコアールタイヤショップ」を開設しています。
中古タイヤ&ホイール、中古カー用品を在庫し、取付けも併設のピットで行います。
ここで販売している中古タイヤは、専門スタッフによる品質検査に合格したものであり、タイヤ洗浄機にかけてリフレッシュしています。
中古タイヤは、一般ユーザーにとっては割安感があり、当社にとっては粗利率の高い商品です。現在、月商約1,000万円ですが、これを1,500万円、2,000万円へと拡大させたいと考えています。
■中古車の販売は?
石井 敷地内に鈑金工場があり、修復可能なダメージカーの再生を行っています。鈑金工場には最新式のフレーム修正機や塗装ブースが整っており、リサイクル部品を活用して車両の再生を行います。
再生したダメージカーは、敷地内の中古車展示場で販売するか、中古車オークションの再生車両コーナーに出品して、国内・海外の中古車市場に送り出されます。
■貿易については?
石井 貿易部門は過去10年で売上を20倍に伸ばしました。現在、世界50ヶ国と直接貿易しており、このうち13ヶ国のバイヤーが弊社のブース内に常駐しています。
海外バイヤーは以前、観光ビザで入国していましたが、これだと最大で3ヶ月しか滞在できません。担当者が短期間で交代することになり、我々にとっても商売がやりにくい。そこで、就労ビザ取得のお手伝いを当社でやることにしました。就労ビザでは最初は1年間滞在でき、次は2年、その次は3年となります。実務は行政書士に外注しています。
現状では、総売上の35%が貿易であり、貿易部門は少人数で運営しており、粗利率はトップです。
■今後の展望は?
石井 短期的には知恵と工夫で国内販売に力を入れたいと思っています。しかし、長期的に見ると国内市場に不安要素もあります。
例えば中国から安い新品部品が入ってくると、中古部品の市場は影響を受けないか?という不安。既にフロントガラスは中国製の新品が破格の値段で入ってきて、市場を席巻しています。パネル部品や機能部品にも、同様なことが起こるかも知れません。
一方で自動車部品の変化です。新型レクサスには樹脂ガラスが採用されました。将来は「鉄より軽くて強い」といわれる炭素繊維強化プラスティックがパネル部品に採用されると、中古部品市場にどのような影響があるのか。これも未知数ですが不安要素です。電気自動車の到来もあります。
そのように考えますと、貿易、その延長としての海外進出が重要な明日への戦略の一つとなります。
■具体的な進出計画は?
石井 中国への進出を計画しています。中国の自動車市場は急速に拡大しており、成都でも1日の自動車登録台数が約1,500台です。この活気溢れる市場で、何かやりたいなと考えて来ました。
中国における自動車リサイクル市場は、これからが本格的な発展期になります。現状は40年前の解体手法でやっているので土壌汚染、大気汚染、水質汚濁等の問題があります。そこに日本の先進的な解体技術を入れて、これを標準化して横展開し、環境問題に対応したいと思います。(編集部注:取材は2010年11月19日に行われたもので、中国(成都)進出は取りやめになり、他地域での進出を検討中とのこと)
さらに、今後の夢ですが、発展途上国にエコアールのグリーンネットワークを広げて行きたいと考えています。
わが国は自動車を輸出することで発展して来ましたが、同時に環境問題も輸出したのだと思います。輸出した車両は、いつかは廃車になるからです。その廃車の適正な処理に、我々の解体のノウハウを現地に展開したい。
中国、ベトナム、インド、タイ、インドネシアやマレーシアなど、今後、大量に廃車が出てくる国をターゲットに進出し、これをネットワークで繋げたいと考えているのです。
株式会社エコアール
代表者 石井 浩道
住所 〒326-0324 栃木県足利市久保田町838-1 西久保田工業団地内
経営理念 人と地球の未来をみつめ、もったいない精神を尊重し、明るく楽しい社会の実現のため、環境産業全体の発展に寄与するとともに、それら全ての礎(いしずえ)となる全社員の幸福を追求します。
月刊自動車リサイクル2011年3月号