先進技術を導入した新たな車両事故調査手法を発表

あいおいニッセイ同和損害保険・あいおいニッセイ同和損害調査が記者発表会を開催!

あいおいニッセイ同和損害保険㈱(金杉恭三社長、以下、あいおいニッセイ同和損保)並びにあいおいニッセイ同和損害調査㈱(黒田昌浩社長、以下、あいおいニッセイ同和損調)は、去る2017年12月7日、あいおいニッセイ同和損保・本社にて、先進技術を導入した新たな車両事故調査手法に関する記者発表会を開催した。

発表されたのは、いずれもITを駆使した取り組みで、3つの発表のうち1つは先月号にて紹介したテレマティクスを活用した自動車保険(特約)であった。

初お披露目となったのは方やインターネット回線をフル活用したもの、方や抽出したデータを解析する、その解析手法に重きを置いたものである。

自動車を取り巻く環境あるいは自動車そのものに、いかにITやコンピューターが浸透してきているかを改めて実感させられる発表会となった。以下で詳しくみていこう。

テレマティクス自動車保険

車載通信機(DCM=データ・コミュニケーション・モジュール)を介して得た、クルマの走行データを活用し様々なサービスを提供する自動車保険。

先月紹介した「タフ・見守るクルマの保険」(下図参照)では、走行データを元に、離れて暮らす高齢者が異常運転をしていないか判定することに主眼が置かれており、異常を検知した場合には家族やサポートセンターに通報が入る仕組み。

もう1つ紹介された保険は、2018年1月販売開始のレクサス車を対象としたもので、走行データを元に安全運転をしているかどうかを判定することに主眼が置かれており、安全運転と認められた場合には翌月の保険料が割引になるという保険になっている。

視界共有システム(動画システム)の活用状況

調査対象となる事故車両を、スマートフォンを使って画像撮影することで、アジャスター(物損事故調査員)が現地に赴かずとも事故車両の損害調査ができるシステム。

従来、事故車両の損害調査はアジャスターが修理工場に出向いて損害を直接確認する方法、工場から伝送された静止画像を確認する方法、または写真プリントで損傷を確認する方法を用いていた。

損傷確認結果を元に、アジャスターと修理工場との間で修理内容を協議するが、いずれの方法も損害確認・修理開始までに一定の時間を要していた。

しかし、このシステムを導入すれば迅速な対応が可能となる。仕組みとしてはアジャスターのオフィスにあるパソコンと、修理工場のスマートフォンをインターネットを介して接続し、スマートフォンのカメラを通じて対象車両を確認しながら、アジャスターから「○○の画像を撮影してください」と音声で指示し、修理工場に撮影を促すことができる。

2018年度中(=2018年4月以降)の実用化に向けて、開発を進めている。スマートフォンにインストールするアプリは無料だが、通信費用については現時点では修理工場負担を想定しているものの、それほど大きな負担にはならないよう調整が進められている。

EDRを活用した車両事故発生原因の新調査手法

EDR(イベント・データ・レコーダ)とは、エアバッグ制御用のコンピュータに内蔵されている装置で、衝突から約5秒間を遡って車両速度、ブレーキ操作、ステアリング操舵角、衝突の大きさ、シートベルトの装着状態、エンジン回転数、アクセル開度、シフトポジション等の情報が記録される。

このEDRに記録されたデータを出力できる機器はCDR(クラッシュ・データ・リトリーバル)と呼ばれ、あいおいニッセイ同和損調ではEDRデータの解析にボッシュ製のCDRを活用すると共に、このCDRを使いこなすことのできるCDRアナリストの資格をアジャスター5名が取得し、自動車事故の損害調査に導入した。

例えば、3台のクルマが絡む玉突き事故。1台目と2台目のクルマが事故を起こした所に3台目が追突したのか、2台目まで停車していた所に3台目が突っ込んで弾かれた2台目によって1台目に追突したのかでは過失割合が全く異なってくるが、従来であれば言い逃れが通ってしまった事故でもEDRに記録されたデータを解析することで、たちどころに正確な過失割合が判定できるというわけである。

実際に損害調査に導入されたのは2017年秋からで、まだ活用事例は多くないが、その正確性には既に一定の評価が得られている。

 

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