以前より誌面上で紹介しているボッシュのエアコン洗浄機器であるACS751だが、今年も好調な売れ行きを見せている。そんな中、夏の風物詩とも言えるエアコントラブルに弊社の車両も見舞われた。逆にこれはチャンスと思い、『エアコンが冷えないクーラーはサイクルの洗浄だけで効果が回復するのか』という実車を使ったデモを行った。これまで、紹介してきた中で、操作性や性能、効能について触れてきたが、目の前で壊れたエアコンに繋いだことは無かった。本誌連載『故障診断整備のススメ』で御馴染みの長土居大介氏にも協力を頂き、明治産業大宮営業所にてデモを行った。
■ 低圧ホース・高圧ホースに繋ぐだけ!
対象車両をACS751 の低圧と高圧のバルブに繋ぎ、本体の作業ボタンを押すだけで作業自体は開始された。実際の作業はこうだ。
① エアコンガス(冷媒)をすべて回収
② 真空引きを行いガス漏れのチェック
③ ガス内のゴミをフィルターで洗浄
④ 規定量のガスと新しいオイルを充填
このような流れとなっている。これら全てをエンジン始動もせずに行うことが出来るのだ。
■ 目に見える不具合の解消
写真のように診断用紙が出るのだが、下段にある281 という数字はガスの補充量だ。この車両(K12 のマーチ)の規定量は450 となっており、十分に補充出来ていないことが分かる。どこかで詰まりがあるのか数回の真空引きの結果、オイル、ガス共に規定量が充填された。
同じようにクーラーの吹き出し口の写真を見て頂きたいのだが、明らかに吹き出し口の温度が変わっていることが分かる。
クーラーガスの補充だけではなく、一歩踏み込んだACS751 ならば、サイクル内の洗浄ならびに車種に合ったガス、オイルの補填を行うことが出来る。それでいてエアコンという夏場から冬場まで欠かせない車の装備品の変化を『体感』出来る機器なのだ。このように不具合がある車両ならば一目瞭然だが、不具合を内包しているのにも関わらず気づかないユーザーも少なくはない。夏場に壊れるエアコンの大半はサイクル内の汚れが原因である。知らぬ間にエアコンが効かなくなりガスチャージで誤魔化してしまっては根本的な解決にはならないし、近い将来に大きな投資(サイクル交換やコンプレッサー不良)も考えられる。
編集部でも実際に体感したが、サービスを実施した後に『変化を体感』出来ることはとても重要である。『車検に出しても車の調子は大して変わらない』と陰で言われているかもしれない現状を、ACS751 の追加整備で大きく変えるチャンスがある。