今、整備工場が取り組むべきこと

自動車整備工場の経営力向上に向けた取組み方法

国土交通省が発表した事業分野別指針には、「人」「財務」「営業」「設備」の4つの分野について、経営力向上に向けて事業者が取り組むべき内容が示されている。

人に関する事項

1、人材育成

自動車の高度化に対応した整備作業等の方法の習得に係る教育及び研修制度を充実させる等、人材育成支援制度の充実を図る。

2、能力に応じた人員配置の最適化

従業員の適性に応じて最適な人員配置を行うことにより、各従業員の能力を最大限引き出すとともに事業者全体として業務を効率化する。

3、従業員満足度の向上

職場環境の整備、待遇の改善、休暇取得の柔軟性向上、成果報酬の見直し、残業時間の削減等により、従業員の満足度を向上させ、事業の質を確保するとともに、人材の確保を図る。

整備工場の待遇という面では、「整備士の給与7年目で手取り11万」というのがツイッターで大反響を呼んだように、国家資格を取得しているにもかかわらず給与が悪く、残業をすることが前提の給与体系になってしまっている事業所もあるようだ。このような事態が続き整備士のイメージが悪くなると、ますます若者の就業者が減ってしまい業界の担い手がいなくなってしまう。給料を今すぐ大幅に上げるのはどこの企業も難しいだろうが、職場環境を良くするということは、少しずつでも着手できることであろう。

 

財務管理に関する事項

1、コストの把握・効率化

仕入れ費、外注費、物流費、人件費等の費用を把握し、コストの見える化を推進するとともに、PDCAサイクルの徹底により、継続的なコストの効率化を図る。

2、業務の標準化

マニュアル作成等により業務の実施方法を標準化し、作業ミスを防止するとともに作業の効率化を行う。

3、業務量に応じた人員配置の適正化

時間帯や曜日等による需要の増減を事前に予測し、業務量に応じ適正な人員配置を行う。

コストの削減というとすぐにリストラ・人員削減が思い当たるだろうが、業務や作業の効率化をすることによって、超過勤務時間の削減をし、適正な労働時間と人員を確保することが望ましい。

 

営業活動に関する事項

1、点検整備に係る販売の促進

自動車のユーザーに対し、点検整備の時期にダイレクトメール等による案内やメンテナンスパックの販促等を行うことにより、定期的な点検整備の重要性と予防整備の有効性を周知し、点検整備に係る入庫を増加させる。

2、顧客のニーズに応じた整備作業等の実施

事業場の立地等から顧客のニーズを把握し、それに応じた整備作業等のメニューの企画等を行う。また、点検整備を受けた顧客に対し、点検結果に基づき、顧客視点で今後のメンテナンス計画を示す等、顧客との信頼関係を築く取り組みを通じてリピート率を向上させる。

3、付加価値の向上

トータルカーライフサポート、インターネットを通じた予約システムの整備、会員制度・ポイント制の導入等により、整備作業等以外の部分で顧客に対する付加価値を向上させる。また、ポイント付与率を変動させる等の取り組みにより、繁閑格差の平準化を図る。

4、他業種及び他の事業者との連携体制の構築

自動車保険を企業等との業務連携により、事故車両にかかる整備の依頼を優先的に受ける等、受注機会の増大を図る。また、自動車整備事業者間の連携体制を構築し、特殊な設備等が必要な工程や何度が高い工程については専門性を有する自動車整備業者が分担することにより、受注機会の増大を図る。

 

設備投資やITの利活用等に関する事項

1、設備投資に関する事項

高度化した整備作業等に対応した設備等を導入し、他の事業者との差別化を図る。また、老朽化した設備等の更新に当たっては、作業の効率化、省エネルギーの推進、労働安全対策等を考慮して設備等を導入する。

2、ITの利活用に関する事項

顧客等に係る情報を一括管理するシステムの構築や、標準化した業務の実施方法を共有するためのタブレット端末の導入等により、業務の効率化を行い、顧客に対する情報の見える化を推進する。また、ITの利活用にあたっては、セキュリティ対策を講ずる。

3、ロボットの導入

整備作業等の一部を代替し、支援するロボットの導入により、作業の効率化、作業員の作業の安全性の確保等を図る。

省エネルギーの推進に関する事項

エネルギー使用量の見える化、設備等の稼動時間の調整や最適管理(設備の有効利用)、省エネルギー設備等の導入等により、業務に係るエネルギー効率を高め、継続的なコスト削減を図る。

これらの事項は事業者の規模に応じて対応することを推奨しているので、自社の規模にあわせた、環境整備を行うことが重要である。

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