自動車業界誌広報協力会共同企画 トップインタビュー
6月に開催された株主総会を経て、大手機械工具商社の1社である株式会社バンザイの代表取締役社長に柳田昌宏氏が就任した。5年後に100周年を迎える同社にとって、その若さを以って100年のその先に進むための推進力としての期待がかかる。そこで今回は社長就任を記念してインタビューを行った。
株式会社 バンザイ・柳田昌宏社長インタビュー
―代表取締役ご就任から約3 ヶ月が経過しましたが、ここまで感じられたことをお聞かせください。
柳田社長(以下、柳田) まだ3 ヶ月しか経過していないので、正直あまり実感も湧かないのですが、社員数400人以上の会社の社長という大きな責任を感じ、身が引き締まる思いです。
また、ちょうど5年後に創業100周年を迎えるので、それに向かってみんなでやっていこうという意識を高め、いい形で100周年を迎えたいという気持ちが強くあります。
―全国を回られて、寄せられた声や期待などについてはいかがですか?
柳田 ご挨拶させていただきましたお客様の中で、父(7代目社長・柳田勇彦氏)の時代からお世話になっていた長いお付き合いのある方にもお会いする機会がありました。当時のお話をお聞きしたり、励ましの声をかけていただくこともあり、父の大きさを今改めて感じて、それに追いつくために、そしてお客様の期待を裏切ることがない様に、必死で頑張らなければならないという思いを強くしております。
―柳田社長はご自分の目で世界をご覧になってきたと思いますが、日本の整備機器はここが優れている、逆にここはもう少しかなと感じる部分はございますか?
柳田 日本製品全般に言えることだと思いますが、整備機器についても、使い手の立場を考慮した細かい気配りの装置であったり、壊れにくい構造であったり環境への配慮もそうですが、そういう+αの部分というのは日本製品が優れていると思います。
一方で、例えば欧州車のメーカーの指定・認定機器の取得状況に表れる通り、まだまだ日本の整備機器は世界的に認知度が低いと思います。当社は日本ではおかげさまで大手と呼ばれておりますが、欧州車メーカーに尋ねれば、おそらく「バンザイって何?」という答え
が、かなりあると思います。
そういう意味では、日本の優れた整備機器をもっと世界の自動車業界へ紹介し、認知度を上げる、そういったところにもっと取り組んでいく必要があると思います。
―(整備業界の)人材不足が顕著になっています。整備機器の側面から、何か支援できることはあるとお考えでしょうか?
柳田 人口減少に伴いメカニックの高齢化や女性登用への対応という課題を考えますと、女性や高齢者にも優しいとか、省力化とか、そういう観点の整備機器を考えなければいけないと思います。
国交省もこれから工具業界と一緒に女性や高齢の自動車整備士が使いやすい設備や工具のガイドラインを作成するとの発表もありましたが、高齢者、女性、環境といったキーワードの機器は今後ますます、出てくるのではないかという気がしております。
―今、話題の、安全OBDを診断し、調整するMAHA社製のテストベンチはいつ頃発売の予定でしょうか?
柳田 昨年のアウトメカニカで発表された機器ですが、日本のお客さまの反応を見てみたいということで先のオートサービスショーで出品しました。発売については具体的にいつというのは、まだ決めておりません。
ただし、注目度は非常に高く、路上走行を行わなくてもテストベンチ上で擬似信号を入れてのシュミレーション、動作確認や、安全デバイスが正確に作動することをテスト出来ることは、これからの自動車の技術進歩に合わせてニーズは一層高まると思います。実際オートサービスショーではカーメーカーさん、研究施設、国交省の関係の方々に、相当関心が高かったと聞いています。
もう少し汎用的なものにしていくのかどうかということも踏まえ、検討して行く予定です。
―今年はオートサービスショーもありましたが、全国における展示会(支店単位)の予定はいかがでしょうか?
柳田 販売店主催の展示会は、おそらく今年もほぼ例年通り開催する予定です。オートサービスショーに出品した新機種などを九州や北海道といった、遠方のお客さまにも展示会でお披露目が出来ればと思っています。
― 80周年の際には記念プロジェクトのご担当であったとのことですが、5年後に迎える100周年について、改めていかがでしょうか?
柳田 80周年の時は、担当していました。たしかプレ80(年)ということで、1年前から色々な企画を行い、全国縦断展示会などで、全国8支店を回ったことも懐かしく感じます。
―そうなると、100周年はそれを上回る規模を想像してしまうのですが?
柳田 今年の5月にはヤナセさんが、一昨年はエンパイヤ自動車さんが100周年を迎えられ、記念イベントや式典を開催されました。
決して競う、真似をするということではありませんが、両社のように御取引先を大切にする社風が表れた記念の行事を行いたいと思います。
― 100年という節目に立ち会うというのは、やろうと思ってできるものではない、巡り合わせの賜物ですよね。
柳田 確かに、この貴重な100周年を迎えることが出来るというのは、私に限らずすべての社員も巡り合わせなのかもしれません。
しかしここまで永続することができたことも、御取引先様のあっての100年であることは当然であります。そして先輩の方々が築き、培ってきたことを忘れずに、5年後そして、その次の100年へ引き継いで行きたいと思います。
―本日はありがとうございました。
柳 田 昌 宏(やなぎだ あきひろ) 昭和36(1961)年6月28日 東京都出身昭和59年 3月 ㈱バンザイ 入社(㈱ホフマンジャパン出向) 平成1年 4月 萬歳工業㈱ 出向 平成3年 10月 本社:社長室 平成4年 12月 BTC of America(シカゴ) Manager 平成5年 1月 本社:営業企画部 営業企画課 平成6年 8月 東京支店 横浜営業所 副所長 平成7年 1月 本社:営業情報企画部 営業情報企画課長 平成9年 12月 本社:P&P 平成15年 4月 本社:システム部 部長 平成19年 7月 本社:総務部 部長 平成23年 7月 本社:経営企画管理室 室長、取締役就任 平成26年 7月 常務取締役就任 平成27年 6月 代表取締役社長就任 |