豹変する自動車産業の行方
~自動車整備業の対応は~
佃モビリティ総研 代表 佃 義夫氏
21世紀のテーマキーワードである「環境・エネルギー・安全」は不変で、さらにここに「情報」が加わってくると思います。基本的な問題として、やはりガソリン、ディーゼルなどの化石燃料の枯渇化と代替燃料への切り替えが大きなテーマになったのですけれども、最近では枯渇についてはかなり時間がかかるという見方に変わってきています。ですから、少なくとも2030年代以降といいますか、2050年代ぐらいまで変わらないのではないかという見方が大勢を占めています。
ただし、この中での流れである、環境規制、地球規模の温暖化問題、安全対応、安全についてはクルマの宿命みたいなものです。騒がれているタカタの問題もありますし、かつてはオートマチックでも色々と問題になりました。ですから、安全というのは常に持っていなければならない問題です。
安全対応への技術進化は市場多様化の中で続いていきます。それを受けるのがハイブリッド車で、本当に主流化するには15年ぐらいかかると思います。当然戦略もありますけれども、この流れをしっかりつかんで、ただマスコミの見出しに踊らされないように、しっかりと冷静に捉える必要があると思います。
日本の自動車産業の環境・安全対応技術とものづくりが、世界をリードする中で、当然、整備事業者はパワートレーン多様化時代への対応を、既にされていると思います。一方で、自動運転技術も含めた電動化・IT化戦略への対応もやられていると思います。
燃料電池車主流時代、インフラも含めて水素社会が来るとしても、こちらも2030年代以降ということです。ただし、国内の新車市場は少子高齢化・若者世代対策が大きく求められます。年間500万台ラインをキープして、いかに循環型需要の流れを作っていけるか、ということが重要です。
整備業界も当分の間のパワートレーン多様化時代ということをしっかり捉えて、それと同時に自動運転車時代へ対応していく必要があります。
先日、テスラモータージャパンの広報担当者と話をしたのですが、Googleから来た女性の方でした。このように、車屋さんではない分野から自動車分野に人も参入しているのです。色々な意味で発想も違いますので、そういう流れもしっかりと受け止めていく必要があります。多様な技術情報もきめ細かく収集して、サービス技術力の向上に努めましょう。
一方ユーザーは、車がよりブラックボックス化しているため、整備のプロしかも、信頼と安心のサービスコンサルタント的顧客対応を求めています。
これは整備事業者だけの対策というわけではないのですけれども、日本国内の自動車市場の成熟化・少子高齢化時代への対応というのは大きなテーマです。ユーザーが愛車の整備に何を求めるのか。「愛車」と言っていますが、愛用している家電製品を「愛機」とは呼びませんよね。やはり車は「愛車」ですよね。これをどうやってフォローしていくか、精神論ですけれども、クルマ社会の中で、ユーザーがよりアマチュアになっていくだけに、整備のプロとしての方向を求めるという状況があると思います。
当然、情報の収集ですとか、トータルカーライフサポートを行うためには、事業者ネットワークづくりが重要になってきます。
それからクルマ社会が定着化していく状況の中で、整備事業者が信頼感をインターネットの活用も含めてアピールしていただければと思います。
国の規制もPM規制、安全装置の電子整備、自動運転という方向に進みますので、この辺りもしっかりとキャッチしていただければと思います。
感動夢工場 講演
<一部抜粋>