自動車整備業の接客対応術50
「ニューサービス」の導入により、指定工場における車検整備のやり方は3つに類別されるようになりました。
これらの車検方法について、協業(同)組合の多くは、いかにとりいれればいいかとまどいをかくせないようです。そこで一つ試案を考えてみました。
ニューサービスを組合で実施するのは実際上無理である(ユーザーへの情報提供がストレートにできず迂遠になる)と考えられますので、合理化車検(第94条の5第2項後段の検査の合理化措置による車検のこと)をメニューに加え、ニューサービスでいうところの予防整備情報を提供する機能を持つ。これを「ジャストイン車検サービス」。
ジャストイン車検サービスを行うことにより、組合員側ではニューサービスが行えるようになります。
なお、オオムタ方式といわれているものは念頭に置かず、あくまで制度と指定整備規則等に準拠した車検方法をおこなうことであることはいうまでもありません。
また、組合が車検を直需する場合は、ニューサービスの実施が可能ですが、直需は組合員と競合する(タコが自分の足を食べるように)ことになりますし、営業活動もしなければなりませんので、あまり好ましくないと考えます。(ただし、このことは個々組合事情や選択にもよりますが)
「合理化車検と予防整備情報の提供機能を持つジャストイン車検サービス」をメニュー化することにより、組合が地域の車検整備工場としての役割」を果たすことが可能になります。
地域の認証工場が組合を利用するメリットとして次のようなことがあります。
①低料金で利用できる。
②車検能力が単独指定工場より大きい。
③組合は相互扶助を目的とする広域的な組織であり、心理的にあまり気を使わなくてもよい。
④いわゆる「ジャストインサービス」が行える。(検査のない点検や目視検査だけの情報提供は、本当の意味でジャストインサービスにはならないと思います。)
一方、組合としてのメリットや実施理由としては次のようなことがあります。
①地域業界に貢献できる。規制緩和による認証工場の不利をリカバリーできる。
②地域の車検料金の安定化に寄与できる。
③組合への入庫台数が増える
従って、「ジャストイン車検サービス」を実施する際、個々の組合が、ばらばらに単独でやるのではなく、県下の協業(同)組合が意思統一して取り組まれるほうが、その意図するところが地域の事業者にクリアーに伝わるものとおもいます。その方がまた呼びかけやすいし、利用しやすいと思います。
ジャストイン車検サービスの実施要領(合理化車検の手順、情報提供の方法、車検予約方法、法定点検料・検査料・整備技術料・車検事務手続費用などの料金体系、認証工場との提携契約書など)を各単組で作るのは大変ですし、遵法の側面からも整備振興会の協力を得て、県下組合全体の課題として取り組まれてみてはいかがでしょうか。