自動車整備業の接客対応術50
ニューサービスを導入実施するにあたっては、指定工場の節度ある対応が求められます。
(a)ニューサービスをしないと決め付けてしまうのはダメ
いまだに概算見積書の発行について、客が要求しないのに出せというのは押し付けすぎではないかという反発があり、多くの業者が概算見積書を発行していないようです。それも道理ですが、概算見積書をいるかいらないかを決めるのは客であって、業者が一方的にいらないと決めつけてしまうには問題があります。
一応客にいりますかと尋ねてから、いらないという返答があればそれで良いのですが、どうもその一言がないようです。これと同様に、点検検査内容をいちいち客に知らせて、やりますかやりませんかと聞くなんて素人の工場ではあるまいし、そんな頼りないことやっていたら逆に不信感をもたれてしまう。第一客に連絡取れなかったらどうするんだ。仕事を中断しなきゃならないではないか。そんなことしたら・・・・というようなことで、ニューサービスなんかうちはやらないよという業者がでてきそうであります。
しかし、ニューサービスについてもまずは客の意向を確かめることが必要でしょう。ニューサービスの目的は客との対話を促進し、選択の幅を広げてあげることにあり、まさにお客様の立場に立った車検サービスの提供方法ですので勝手な思い込みは禁物にしたいものです。
(b)自家用乗用車を中心に
ニューサービスは全ての車が対象となりますが、一般的にはオーナードライバーなどの個人ユーザーが主体で自家用乗用車が中心になるものと思われます。また、ニューサービスの実施提供方法について、入庫方法は原則として予約制による車両の持ち込み制とし、入庫診断はユーザー立会いの下で実施すること(あらかじめ実施場所を定めておく)。整備料金の精算は原則現金決済とすることなど、あらかじめルールを決めておくことが必要となります。
(c)的確で適正な情報提供を
ハイテク技術を駆使した車のメインテナンスについて、一般ユーザーは何をどうすればよいのかよくわかりませんし、点検や検査内容を知らせされてどうしますかと聞かれても判断できないのが大方だと思われます。しかし、客の無知や無関心につけこんで過剰整備を誘発するような情報提供は慎まなければいけません。また、ニューサービスや検査の合理化措置を行ううえで大きなネックでありました「保安基準に適合しなくなるおそれ」の解釈が明確にされましたが、「おそれのある情報」については自社に責任がかからないように留意し、記録簿へお客様が確認したことを証するためにサインをいただくなどの措置が必要になってまいります。
情報提供には実際やってみた結果いろんな問題が出てくることが考えられますが、いずれにしても自身の持てる情報提供ができるため、各車データの収集や点検と検査の技量を高めておくことが肝要で整備診断技術の向上が求められます。