自動車整備業の接客対応術50
町工場を歩いていると、時折油光する作業着を勲章みたいに着ている人に出会うことがあります。工場の中で機械と格闘しながら、ものづくりに励む立派な姿が思い浮かびますが、歩くたびに周りにあるものを汚れた作業着で汚しているのではないかと心配になります。
ユニフォームは、働く風景に緊張感とリズムを持たせるにふさわしいものです。しかし、そのユニフォームが汚れていたり、破れがあったり、着古された状態は、整備技術の高さをみせているのではなく、ルーズで雑な仕事ぶりを象徴するものでしかありません。
本田技研工業の工場を訪問すると、真っ白なユニフォームを目にします。これは本田宗一郎氏が白が好きだったから採用した訳でなく、一番汚れの目立つ白いユニフォームで作業しても汚れない工場作りを目指したからなのです。もし、汚れる作業工程があれば、その作業者の汚れが目立ち対策が立てられたのです。
汚れた車を整備し、オイルを入れ替えるなどの作業は自動車を作ることに比べると、はるかに汚れる性質をもっています。しかし、汚れにくい作業方法に工夫をこらすべきでしょう。その上で、洗濯はこまめに行い、汚れの少ないユニフォーム姿での作業をお客様にみせるべきでしょう。顧客満足を高めるための舞台での役者の服装が、役にふさわしくない汚れた服装では興醒めの印象となります。