自動車整備業の接客対応術50
PL法が施行されてから、クレーム対応に多くの産業界が取り組んでいます。クレームの中には、悪質で金銭目的に無理難題を持ちかける者もいますが少数の者の行動です。多くの人は、何らかの問題を感じてクレームとして対応を求めてくるものです。
私の子供が幼かったころの話ですが、祖母が孫に木製の蒸気機関車を買ってくれました。私は子供がそれで遊ぶ前に、子供が怪我をしないように機関車をチェックしました。幼児は大人が想像も付かない所に手を突っ込んだり、口に入れたりするので心配したわけです。
チェックしたところ、幼児の小さな手だったら入る機関車の内部に、のこ引きによるバリがかなり残っており、指先にトゲが刺さってきました。サンドペーパーでバリ取りをした後、子供に機関車をあたえましたが、どうにもメーカーにクレームをつけたくなり、問題箇所を指摘した手紙を送りました。
後日、工場長名での回答が来ましたが、その書面には当社の品質管理には万全を期しており、指摘されるような問題はありえないとの抗弁に終始するものが書いてありました。私はあきれてしまいましたが、まあ、回答が来るだけでもよしとするかと思ったことを今でも覚えております。
私が期待したことは、子供の視点(祖母は買い手で、真の客は孫)でおもちゃを作ってほしいと言うこと。安全な玩具を作るには、幼児や子供の行動を予測した加工方法を確立してほしいということ。別に難癖をつけたわけでもないのに、自己弁護や防衛に終始する回答しかできない会社は、お客さまが何を望んでいるのかを知るチャンスを放棄しているとしか思えませんでした。この会社は、加工方法や品質保証体制を向上させるチャンスを失い、更には私の持つネットワークの客も失ったのです。
最近ではクレームに対する対応が悪いとネットにアップされ、その対応が世界中に広まってしまいます。ちいさなクレームから問題がひろがり会社の存続に関わる問題へつながります。悪質なクレームもありますが、お客さまからの声を真摯に受け止め、改善余地があるのならば、自社のサービスや製品に反映させる必要があるでしょう。