自動車整備業の接客対応術50
たゆまぬ水の流れのように、お客さまの満足の基準や欲求は一箇所にとどまることは無く、絶えず変化し進化します。
お客さまの満足を作る一つの基準は「体験」です。接客サービスのトップ業界はホテル業だといわれていますが、ある共済組合の宿泊施設を利用したときの体験をお話しましょう。
大勢の連れと夜の街に出かけ、連れよりも先にホテルに帰ってきたところ、連れの中の1人が鍵を持っていることに気づき、フロントに事情を説明し部屋に入れて欲しいとお願いしました。ところがフロントは規則だからと連れが帰るまで待つように言われ、しかたなく1時間近く連れの帰りをロビーで待っていたことがあります。その時のフロント係は、私が宿泊人であることを証明するものを見せてもカギをフロントに預けなかったのだからダメですの一点張りでした。
釈然としない思いが次第に怒りに変化した経験があります。過去に別なホテルで連れのせいで同じような失敗をした時、事情を話し同宿者の名前と宿泊を申し込んだときの自分の連絡先電話番号の照合で、部屋の鍵を開けてもらった体験があるだけに、余計サービスの違いに腹がたってしまったのです。もし、別のホテルでの体験が無ければ、腹を立てながらも仕方がないと自分を慰めていたでしょう。
人は、このように自分が体験することによって満足基準を作り、新しい満足体験でより満足基準のレベルを上げていきます。お客さまは絶えず進化していると考えるべきです。同じお客さまであっても、2年前の車検時の満足基準と今年の満足基準は、様々な体験や見聞により変っていることに気配りしてください。