こんな風景見たことありませんCar?
「お待たせいたしました。特に問題はございませんでした。今回の金額は・・・・・・」
「はい・・・・・・」
請求書をじっと見つめるお客さま。しばしの沈黙。
「分かりました」
お客さまは支払いをして帰られた。しばらくしてから工場長からの呼び出し。
「ちゃんと整備報告をしたのか?」
「え、ちゃんと説明しましたよ、一応・・・・・・」
「不満げに色々と確認されたと聞いたぞ!それで報告したと言えるのか? しっかりと説明するようにと、先日の会議でも伝えたはずだ!」
整備報告が難しい。たしかに、整備報告をするようにとは言われた。それなりに一生懸命やっているつもり。だけど、どこかで腑に落ちない。何で僕が?
説明だったら、営業やフロントの方が上手いはず。お客さまだって、その方が分かりやすいし、納得してくれるはず。何よりもお待たせしているお客さまのお車を早く整備することこそが、僕ら整備士の仕事のはず……。
車検、点検、整備に鈑金、室内クリーニング、入庫予定が次から次へ、突発対応も日常茶飯事。とはいえ、残業が増えたら増えたで叱られる。整備報告、本当に僕らの仕事ですか?
検査入院、人間ドック、書面で報告を見ることと、看護師さんから話を聞くことと、直接診てくれたドクターから話を聞くこと、結果は同じ。だけど、同じようには受け止められない。
整備報告はお車のドクターから。整備、点検、お客さまが求められるのは安全・安心のカーライフ。問題ないことを確認したい。問題があるならば解決したい。上手で巧みな説明が欲しいわけではない。見積金額の妥当性を伝えて欲しいわけでもない。何を見て、どうだ
ったのかを教えて欲しい。直接クルマを診てくれた「あなた」から、安心であることを教えて欲しい。
作業予定の最後の5分、報告のための時間にしよう。忙しくても、ちゃんと報告できるように。肩肘張らずに報告しよう。上手い報告でなくてもよい。誠実に、自分自身が診たお車の状態をお伝えしよう。一生懸命な姿はちゃんとお客さまに伝わるから。お客さまが一番欲しい、安全と安心が伝わるから。
written by 古川裕康
自動車事業本部 チーフコンサルタント
株式会社 リブ・コンサルティング: ▶ 03-5220-2688
「100 年後の世界を良くする会社を増やす」ことを企業理念とし、現場主義・成果創出にこだわりを持った
総合経営コンサルティング会社。カーディーラーや中古車販売店、整備業などへの支援に強みを持つ。