私が日々お付き合いさせて頂いている業界と自動車業界とでは収益構造が全く異なります。その現実を見るたびに『自動車業界は儲かる商売だ』と考えてしまいます。
以前にも触れたクリーニング業界の話になりますが、クリーニング店の主要な商品はワイシャツのクリーニングです。単価の高い革製品やコートといったものも取り扱いますが、少数であると言えます。そういったクリーニング店は大小様々ですが、日本全国に約11万件あると言われております。自動車整備工場よりも数で言えば多いのです。
1枚100円のワイシャツの粗利
クリーニング店のメイン商品であるスーツやワイシャツなどは単価の低い商品になります。例えばワイシャツですが、店にもよりますが1枚あたり100円前後でクリーニング出来ます(私は仕事でワイシャツを毎日着ますが、プレスをかけたシャツに袖を通すのは気持ちがいいです)。利益率は出しにくいのですが、1枚あたり10円ほどであると言われております。
では、自動車業界はどうでしょうか。車検1台あたりの金額は整備そして自賠責や税金なども含めると軽自動車でも5 ~ 6万円はすると思います。その中で利益は幾らぐらいになりますか?
各社の事情にもよりますが、大体2万円程度だと思います(大型は除く)。1台あたりの利益が2万円もある商品というのは、他の業種ではそれほどありません。ここでワイシャツのクリーニング料金を思い出して下さい。1枚100円ですので、5万円分の売上となると500枚クリーニングをしなければなりません。しかも車検と違い、定期的(2年に一度)に入庫(依頼)がある保証はありません。
時代は変わるもの
クリーニング業界にも様々な課題があります。例えば形状記憶ワイシャツなどです。クリーニング店を利用しない、する必要が無い商品が席巻しているということです。こういった扱う商材が変わるということは自動車業界にも起きております。ぶつからない車などがいい例だと思います。仮に、自動運転が進化していき、消耗品も減らないという時代になった時に従来通りの車検制度となっているかという危機感を持たなければ生き残れません。
現代は各分野で生き残りから勝ち残りという考え方にシフトしています。生き残るのではなく、そこから勝ち残ることが重要なのです。勝ち残る企業に共通していえることは顧客の気持ちをくすぐるサービスを実施している所です。いつまでも車検は自動車業界を支える商材とはならない、そういった危機感を持ち、新しい商材そして独自のサービスを実施していって頂ければと思います。
三好 高史
㈱ビジネス通信工業 取締役。
企業用の電話、FAX、OA機器の販売、リースまで幅広く扱う。日本全国の自動車業界とはOA機器の導入で幅広い繋がりを持つ。異業種の営業マンでありながら、「自動車業界が好き」というスタイルで様々な会合に参加し、情報交換を各地で行う。年齢45 歳。座右の銘「一期一会」