立会い車検フランチャイズの全国チェーンとして立ち上がったホリデー車検は、現在、全国250の加盟店数を誇る。直営店で試験的に実施される取り組みは加盟店にも落とし込まれ、様々な成功事例が存在する。今回そんな成功事例の中でも多数の見学者が集まる注目の取り組みが、水性塗料の導入事例である。
下地はもちろんのことクリアーも水性に
一般的に下塗り(ベース)の水性塗料は多く存在する。各地の鈑金塗装工場はもちろん、ディーラーに於いても水性塗料の導入は後を絶たない。一般的に水性塗料と呼ばれるものは下塗り(ベース)だけに多く使用され、サフェーサー(下地)や上塗り(クリアー)の水性化は未だ普及していない。国内の鈑金塗装工場全体で見ても、水性塗料の普及率は決して高い数字とは言えない状況の中、立会い車検システムの先駆者として今度は鈑金塗装技術の最先端を歩くためにも、ホリデー車検はサフェーサーやクリアーのオール水性化の導入を始めたと言っても過言ではない。
直営店2号店 ホリデー車検法隆寺店
そんな水性塗料を導入したのはホリデー車検の2番目の直営店であるホリデー車検法隆寺店である。同店は奈良県の法隆寺インターチェンジの直ぐそばにあり、立地条件も相まって地域の車検、整備に貢献している。建屋を見ると、その大きさにも目を見張る部分もある。店内では受付そして別棟に待合室を設け、保険のチカラ(3月号掲載)の展開も行っている。鈑金部門は月間50台ほどの入庫があり、軽鈑金はもとより重鈑金も手がけている。車検台数は年間3,000台弱の実績の店舗である。社員数12名、オープン当初より鈑金塗装も手がけ、ユーザーにも認知されている。
水性塗料に着目したのは
「ベースの水性塗料を4年前から導入し、外資系塗料メーカーの協力の下、サフェーサーとクリアーを昨年12月に導入しオール水性化に踏み切りました。この取り組みには3つの側面があります。
1つは主流になってきている水性塗料を使っていくことで、環境への配慮、そして時代の流れに沿って進化していく必要性を感じたからです。法令遵守を図る上でも、溶剤塗料がいつまでも使えるとは限りません。そういった危機感もあります。
2つ目は水性塗装のパッケージを加盟店に導入していくための検証が必要だからです。水性塗料を導入するといっても当たり前ですが、塗料を変えるだけではありません。技術の習得や設備の入れ替えも必要になります。これらを実験的に行い、現在、導入を検討している加盟店に対して、スムーズに導入が出来るような流れを作るためです。
そして最後は職場環境の改善になります。溶剤の塗料と違って人体に影響を与えにくいと水性塗料は言われています。実際に水性塗料に変えてから、朝起きるのが楽になったとの声を現場から聞きます。鈑金塗装技術者は溶剤塗料を塗布する環境で仕事をしていては、体への影響も計り知れません。働くスタッフのことを考えれば水性塗料の導入は社員満足度向上にも必要不可欠であると考えています」とホリデー車検開発部の塩井川勝担当部長は語る。
法令遵守に関しては、モリブデン系のオイルなどに含まれる素材が使用禁止になった例もあり、溶剤塗料の使用にも規制がかかる可能性を懸念した未来を見た動きである。そういった情報にも敏感に反応していき、情報発信をしていく使命があると塩井川部長は補足した。
水性塗料の導入に対してネガティブな
イメージを払拭させる
さて、読者のほとんどが(筆者自身もだが)水性塗料は乾燥時間や導入コスト、塗料自体の価格がデメリットであると感じていると思う。そういったネガティブなイメージを払拭していく使命があると語るのはホリデー車検法隆寺店の藤川義幸鈑金塗装課主任である。
「鈑金塗装を続けていく中で、私自身も溶剤塗料から入ったので、使い慣れているのは溶剤塗料です。ですが、先ほど塩井川が話したように我々ホリデー車検には環境などを配慮した動きをしていく使命があります。先駆者となって動かなければ加盟店はもちろんのこと、自動車業界そのものが環境をないがしろにしていると言われかねません。
4年前から使い始めてみて分かったことを話しますと、水性は塗りにくいなどと思われるかも知れませんが、溶剤塗料が使える方であれば問題なく使うことが出来ます。しかし、水性塗料に変えるメリットの一方で、デメリットは確かにありますので、それらを加盟店はもちろんのこと、多くの人に知って頂くことを念頭に今後も努力を続けてまいります」
水性塗料のススメとホリデーの取り組み
ホリデー車検の水性塗料の導入事例は多くの加盟店の見学者が足を運ぶ、注目度の高い導入事例である。そして見学会では塗る以外にも、現場の流れの説明から店舗の開発、集客の仕組みなど、これまでの蓄積されたノウハウを余すことなく提供しているのだ。こういった仕組みを提供するのがホリデー車検の強みであると言える。
なお、この水性塗料の取り組みに関しては加盟店以外でも見学が可能となっているので、水性塗料に対してネガティブなイメージを持っている方、そして、水性塗料に対して積極的に取り組みたい方は必見の取り組みである。