総整備売上高の大幅減少は異常事態か?
自動車整備業界の根幹をなすものはなにかというと、総整備売上高である。日整連発行の「自動車整備白書 平成28年版」(以下、整備白書)によると、平成28年度の総整備売上高は5兆3,944億円で、前年に比べて1,189億円も減少している。しかも、落ち込みの大半は専・兼業工場によるもので、1,117億円の減少となっている。
単純に1年間で1,000億円も落ち込むのは異常事態ではなかろうか? しかるになぜみんな騒ぎ立てることがないのか? と思った。そこで先ほどの話である。あくまでこの数字は業界全体の合計値である。
業界全体としては1,000億円規模の落ち込みだが、1工場当たりで見たら実はそれほど大きな落ち込みではないのでは? だからみんな落ち着いていられるのではないだろうか? ならば計算してみよう! 同じく整備白書によると、全国の専・兼業工場数は72,211軒、これで総整備売上高の専・兼業の落ち込み額1,117億円を割ると、約155万円。これは年間の数字なので、12 ヶ月で割ると月間で約13万円の落ち込みということになる。13万円というとぴんとこないかもしれないが、同じく整備白書に入庫1台当たりの平均単価が載っており、専・兼業の平均単価は40,482円なので、月間で3台ずつ入庫が減っていることになる。
こうしてみれば、保有台数こそまだ減少に転じてはいないものの、高齢者の中には免許を返上する方もいるなど、今後は減りこそすれど増えることは考えにくい状況なので、毎月3台ずつ入庫が減っているという数字はあり得なくもない数字だと言える。
しかし、1工場当たりで言えば実に現実的な数字であっても、それが合算されて1,000億円規模になるというのもなかなかに驚きである。まさに塵も積もれば…の典型例と言えるのではないだろうか。
さて、御社はいかがだろうか?月間で3台ずつ減っていれば業界平均であるとは言えるが、同じだからといって安心していては商売上はよろしくないだろう。こうした現状分析をするためにも指標となるデータが必要となるわけで、
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