税務

資本的支出と修繕費の区分は?

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2013年2月号掲載

資本的支出と修繕費の区分は? その1

Q、 わが社の店舗の床や壁の損傷がひどくなってきたことから、改修等工事を行い、その破損部分の修繕費として200万円を支出し、その全額を修繕費として必要経費に算入した。この処理は認められるだろうか?

店舗の取得価額等の金額
当初の取得価額 2000万円
前年末までにした資本的支出 500万円
前年末における未償却残高 1900万円

A、 業務用固定資産の修理、改良等に係る支出金額がある場合には、その支出金額が資本的支出もしくは修繕費のいずれかに該当するかを区分する必要があります。しかし、実務上、資本的支出か修繕費かの判定を行うことは困難を伴うことから、3 つの形式基準によって資本的支出と修繕費を区分して確定申告を行っている場合には、それを認めることとされています。

今回のケースでは、2 つ目の形式基準「一の修理、改良等のために支出した金額のうちに、資本的支出と修繕費の区分が明らかでない金額があり、その金額が60 万円未満の場合、又はその金額がその修理・改良等に係る固定資産の前年12 月31日における取得価額のおおむね10% 相当額以下である場合において、その支出金額を修繕費(必要経費)としていること(所基通37-13)」を適用し、改修費として支出した金額が店舗の前年未取得価額の10% 以下であるため、修繕費とする処理は認められます。

資本的支出と修繕費の区分は? その2

Q1とは別の店舗でも床や壁の損傷がひどくなってきたことから、改修等工事を行い、破損部分の修繕費として200万円を支出し、その全額を修繕費として必要経費に算入した。この処理は認められるだろうか?

店舗の取得価額等の金額
当初の取得価額 1600万円
前年末までにした資本的支出 100万円
前年末における未償却残高 1400万円

A、 Q1 同様、基本的には資本的支出と修繕費のいずれかに区分する必要があります。

(1) 資本的支出(所令181、所基通37-10)…①その資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する支出金額又は②その支出の時におけるその資産の価値を増加させる部分に対応する支出金額(①、②のいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額)
(2) 修繕費(所基通37-11)…業務用固定資産の通常の維持管理のため、又は被災業務用固定資産の原状回復のために要した部分の支出金額や建物の移えい・解体移築に要した費用の額など

しかし、やはりQ1 同様に実務上、判定を行うことは困難なため、前年末取得金額の10% 以下かどうかで判断されます。このケースでは、改修費として支出した金額が店舗の前年未取得価額の10% を超えるため資本的支出と判定され、必要経費算入は認められません。

佐野德太郎税理士・宅地建物取引主任者

国税庁本部に始まり、東京都下、数々の税務署にて法人税部門のスペシャリストとして活躍。税務への姿勢は一点の曇りもなく「真摯」の一言に尽き、その長年の監査実績は “隙のない決算書”を生み出す指導術へと大成している。裏千家教授の顔も持つ、心技充実の昭和22 年元旦生まれ。
税務のご相談は▶03-5225-0024

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