自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱
せいび界2013年1月号掲載
駐車場の不動産申告 その1
Q、 私は、父が所有する土地を無償で借り受け、月極め駐車場を営んでいる。駐車場利用者との契約は私名義で行い、その手続や集金もすべて行っている。また、駐車場から生じた利益は私が費消等している。駐車場は立体型で、平置き場は舗装をしており、それらの費用及び固定資産税等の費用は私が負担している。この駐車場を不動産所得として申告した場合、この申告が認められるか?
A、 この場合は、駐車場経営の収益は単なる土地の貸付けによるものでなく、また、「駐車場」という資産の真実の権利者はあなたであると判断され、あなた名義の不動産所得の申告が認められます。収益(所得)が誰に帰属するものであるかについて、所得税法では第12条に実質所得者課税の原則を選定し、その解釈通達としての所得税基本通達に「資産から生ずる収益」と「事業から生ずる収益」とに分けて次のように定めています。
駐車場の不動産申告 その2
Q、 上とは別の土地も同じように、父が所有する土地を無償で借り受け、月決め駐車場を営んでいる。駐車場利用者との契約名義、その手続や集金等は、同じく私がすべて行っている。
また、駐車場から生じた利益は私が費消している。駐車場は、平置きのいわゆる「青空駐車場」であり、隣地との境界の簡易フェンス及び簡易舗装を施し、駐車スペースを区分するラインは引いているが、それ以外に特に設備等を有していない。なお、簡易フェンス・舗装の設備費用及び固定資産税等の費用は父が負担している。この場合も私名義の不動産所得として申告した。この申告も認められるか?
A、 この場合、土地の所有者はお父さんであり、また、簡易舗装等の設備費用もお父さんが負担していることなどから、その青空駐車場の真実の権利者はお父さんであると判断され、お父さんの不動産所得と認定されます。
[是否認の接点]
有料駐車場による収益(所得)については、事業所得または雑所得に該当する場合と、調査事例のように不動産所得に該当する場合があります(所基通12-1)が、不動産所得の場合は、一般的には、資産から生ずる収益として、その収益の基因となる資産の真実の権利者に対して、また、それが誰であるか明らかでない場合にはその資産の名義人に対して課税されることになります(所基通12-1)。
佐野德太郎税理士・宅地建物取引主任者
国税庁本部に始まり、東京都下、数々の税務署にて法人税部門のスペシャリストとして活躍。税務への姿勢は一点の曇りもなく「真摯」の一言に尽き、その長年の監査実績は “隙のない決算書”を生み出す指導術へと大成している。裏千家教授の顔も持つ、心技充実の昭和22 年元旦生まれ。
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