自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱
せいび界2012年4月号掲載
Q、社宅や寮の貸与は節税になる?
使用人及び役員に対する社宅や寮の貸与をすると節税になると聞きましたが、くわしく教えて下さい。
A (イ)使用人に対する社宅や寮等の貸与
使用人が、使用者に対して無償又は低額の賃貸料で社宅や寮等を貸与することにより供与する経済的利益については、次の算式により計算した賃貸料相当額とその使用人から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます。
ただし、使用人から徴収している賃貸料が次の算式による賃貸料相当額の50%以上である場合には、その差額については課税されません。
[賃貸料相当額の計算式]
その年度の その家屋の総床面積
賃貸料 家屋の固定 2 (平方メートル)
相当額 =資産税の課 ×――――――― + ―――――――――――
(月額) 税標準額 1,000 3.3(平方メートル)
その年度の敷地の固定 2.2
+資産税の課税標準額 ×――――――――
1,000
(注)1 他から借り受けた住宅等を社宅や寮として使用人に貸与する場合の賃貸料相当額もこの算式によって計算します。
2 固定資産税の課税標準額が改定された場合であつても、その改定後の課税標準額が現に賃貸料相当額の計算の基礎になっている課税標準額に比して20%以内の増減にとどまるときは、強いて賃貸料相当額の改定を要しないこととされています。
他から賃借する賃貸料に比べ、かなり安いとおもわれます。
(ロ)役員に対する社宅等の貸与
使用者が、役員に対して無償又は低額の賃貸料で社宅等を貸与することにより供与する経済的利益については、原則として次のように取り扱われます
①使用者所有の社宅等を貸与している場合
次の算式により計算した賃貸料相当額とその役員から徴収している賃貸料の額との差額が給与所得とされます。
[賃貸料相当額の計算式]
賃貸料 {その年度の家屋 12 10
相当額 ={の固定資産税の × ――――――(木造家屋以外のーーーーーー
(月額) {課税標準額 100 家屋については 100 }
6 } 1
+その年度の敷地の固定 ×―――――― } ×―――――
資産税の課税標準額 100 } 12
(注)1 この場合の「木造家屋以外の家屋」とは、その家屋の耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいいます。
2 固定資産税の課税標準額が改訂された場合には、その改訂後の課税標準額に基づく固定資産税の第一期の納期限の翌月分の賃貸料から、その改訂後の課税標準額によって賃貸料相当額を計算することになります。
②他から借り受けた住宅等を貸与している場合
使用者が他から借り受けた住宅等を社宅として役員に貸与している場合は、使用者が支払う賃借料の額の50%相当額とその社宅等につき①の算式により計算した賃貸料相当額のうち、いずれか多い金額がその社宅等の賃貸料相当額とされ、この金額と役員から徴収している賃貸料の差額が給与所得とされます。
③貸与している社宅等が小規模住宅である場合
役員に貸与している社宅等の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積)が132平方メートル(木造家屋以外の家屋については、99ヘ平方メートル)以下である場合には、①及び②にかかわらず、使用人に対する社宅等の貸与の場合と同様の算式(上記(イ))によって計算した賃貸料相当額と、その役員から徴収 している賃貸料の額との差額が給与所得とされます。
注)敷地だけを貸与している場合には、上記(ロ)①の算式により地代相当額を計算します。
Q: 雇用促進税制について、くわしく教えて下さい。
A、
1、創設された制度の概要
青色申告法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等については2人以上)及び10%以上増加していることにつき、証明がされるなど一定の場合に該当するときは、20万円に基準雇用者数を乗じて計算した金額の特別税額控除ができることとされました。ただし、当期の法人税の10%(中小企業等については20%)相当額が限度とされています。
2、適用要件
この制度の適用を受けるためには、次の①から⑤までの要件をすべて満たしていることが必要です(措法42の12①②、措令27の12③、措規20の7②)。
①前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと。
②基準雇用者数 >5人[中小企業者等については2人]又は
同上 =5人[中小企業者等については2人]
基準雇用者数とは、次の算式により計算した数をいいます。
基準雇用者数=当期末の雇用者の数―前期末の雇用者の数
③基準雇用者割合>10%又は
同上 =10%
基準雇用者割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。
基準雇用者数
基準雇用者割合=―――――――――――
前期末の雇用者の数
④ 給与等支給額 > 比較給与等支給額
イ、給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等
(雇用者に対して支給するものに限られます。)の支給額をいいます。
ロ、比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。
比較給与等支給額
= 前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
⑤ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること。
(注1)前期とは、当期開始の日前一年以内に開始した各事業年度をいいます。
(注2)④について、前期の月数と当期の月数とが異なる場合には、所要の調整が必要です。
3、税額控除限度額の計算
この制度による税額控除限度額は、次の算式により計算します(措法42の12①②)。
(算式)
税額控除限度額=基準雇用者数×20万円
[当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額を限度]
4、申告に当たっての注意点
(税額控除)
イ、この制度の適用を受けるためには、公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で上記適用要件の①から③までの要件について確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨を記載した書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。
(注) 上記雇用促進計画は、平成23年8月1日から公共職業安定所で提出の受付が開始されます。雇用促進計画の提出に係る様式や手続方法等については、厚生労働省のホームページをご覧いただくか、所轄の公共職業安定所へお尋ねください。
ロ、次の事業年度については、この制度の適用がないこととされています。
(イ)設立(合併による設立を。)の日を含む事業年度
(ロ)解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度
(ハ)清算中の各事業年度
ハ、この制度の適用を受けるためには、確定申告書又は仮決算による中間申告書に控除を受ける金額の申告の記載及びその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。
(連結納税制度)
ニ、連結納税制度においても、上記と同様の措置が講じられています。
[適用時期]
平成23年4月1日以後に開始する事業年度(平成23年6月30日前に終了する事業年度を除きます。)分の法人税について適用します。
NBC税理士法人 佐野徳太郎 03-5225-0024