道路上の事故車・故障車をお金をもらって運送することは原則、道路運送法で禁止されています。
お金をもらわないで運送をすることは大丈夫なのですが、有償による車両の運送には営業許可(緑ナンバー)の取得が必要になります。
ただし、道路運送法第78条に一部例外的な運用が許可されており、公共の福祉を確保するために一定の条件の下、自家用自動車(白ナンバー)による有償運送が可能となっております。これがいわゆる「有償運送許可」による運用です。
以下詳しくみてみましょう。
●事故車等の排除業務に係る有償運送許可の主旨
ロードサービス業務に使用される車積載車(自動車を積載することができる装置のある自動車)による道路上の事故車及び故障車の排除業務は、二次災害防止及び交通渋滞の回避等、交通の安全と円滑を確保するため緊急性があると共に、被救援車の利便を図るなど公共性の強いものであることから、道路運送法第78第3号の有償運送許可により対応しているところです。
従来は、警察又は道路管理者からの要請を受けた(一社)日本自動車連盟(JAF)及びJAF指定工場等が使用する車積載車のみ、上記の排除業務に携わることができましたが、平成23年9月1日より、一定の要件に該当する事業者が使用する車積載車も同等の扱いをするという変更が今回の主旨となります。
有償運送許可の根拠
上記に述べた「道路運送法第78条の一部例外的な運用の許可」とはどのようなものなのか
以下、道路運送法(昭和26年6月1日法律第183号)(抄)
(有償運送)
第78条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
・・・(省)
(3)公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。
こちらの条文のによって、一定の条件下では白ナンバーによる有償運送許可がおりる根拠となっています。
道路運送法は改正が行われることがあります
平成26年4月1日再改正の一部
有償運送許可を得ようとする車積載車について、被害者一名当たりの補償額を無制限とする対人賠償保険又は共済(以下「任意保険」という。)に加入していること
こちらの改正前は被害者一名当たりの補償額が5,000万円以上だったのが、改正によって無制限の補償へと引き上げられました。これは、営業許可車両(緑ナンバー)の取得条件の引き上げと同時に引き上げられました。
このように改正が行われ条件が変わったりしますので、有償運送許可の許可期間が定められてます。
一部を詳しく見てみましょう。
有償運送許可に当たっての条件
有償運送許可に当たっては、下記の条件を付すこととしています。
(1)有償運送許可証(以下「許可証」という。)は、車積載車の外側から見やすいようにして表示すること。
(2)許可期間は、許可日から起算して3年以内とする。ただし、許可期間の満了の後引き許可を受けようとする場合は許可満了日の翌日から起算して3年以内とする。なお、再交付を受ける場合(許可証の紛失の場合を除く。)又は許可期間が過ぎた場合は速やかに許可証を返納すること。
(3)有償運送許可要件に該当しなくなった場合又は許可された運送する物若しくは運送区間 の制限を超えて有償運送を行った場合は、許可を取消すことがある。
こちらで大きく変わったのが許可の期間です。
1年間の許可期間から3年に一度になっております。
そのため、3年に一度は研修を受けなければいけません。
許可期間が延びたために、こちらの研修開催する機会が激減しております。
せいび広報社では毎月第2土曜日に開催しており、研修機会が激減する中、毎月の開催があるため
好評をいただいております。
有償(有料)運送の解釈とは・・・
路上排除業務においては、その対価(料金)を当事者であるユーザーからいただくケース、アシスタンス会社の依頼によりアシスタンス会社から支払われるケース、事故当事者の保険により支払われるケースなど、いくつかの支払い根拠があるが、これらすべてが有償による運送とみなされています。
したがって、ユーザーから直接いただかなくても、何らかの形で対価の支払いが行われれば、それは有償による運送と判断されます。
このようなことから、有償で車両を運送る上では、有償運送許可あるいは貨物運送事業許可が必要となります。
許可の申請に必要な書類について
単独申請(当該車積載車の使用の本拠の位置を管轄する運巣支局に提出する場合)での必要な書類
・研修実施団体による研修の受講状況(原本に限る)
・任意保険等の証書(写)
・電子化されていない自動車検査証にあっては自動車検査証(写)又は電子化された自動車検査証にあっては自動車検査証記録事項(写)
・有償運送許可証のひな形
・有償運送許可申請書
新規の場合には以上の5点
継続更新の場合にはもう1点
・前の有償運送許可証
以上の6点が必要になります。
お問い合わせの多い質問
Q, 車積載車とはどのような構造または装置を有する自動車なのか?
A、一般的なマイカー等の排除業務に使用されているウインチ及びローダー等の車載装置を有する車検証に最大積載量の記載のある自動車を想定している。
ただし、ウインチ及びローター等の車載装置の有無は許可の条件になっていない。
Q, ロードアシスタンス会社からの要請に応じ、自社の整備工場等に整備等を行うことを前提に有償で持ち込む場合、当該取扱いの対象となるか?
A、一般に、ロードアシスタンス会社からの要請は排除業務を依頼するものであって、その対価を支払うものであり、当該事故等が排除業務を行った整備事業者の工場に運送され、そのまま整備を受ける場合であっても整備会社(当該排除業務事業者)が行う整備は別途、ユーザーと独立した契約を行うものであることから、「当該運送行為が自己の生業と密接不可分でその業務過程の中に包せつされ、その行為者にとって独立性を有しないもの(昭和31年8月16日付自動車局長通達引用)」とは解釈し難いため、有償運送許可が必要である。
Q, 営業用ナンバーを取得している運送事業者であっても、有償運送許可の取得が可能か?
A、従来の制度下においては、営業用ナンバーを取得している運送事業者に対しては事業用自動車により対応するよう指導していた運輸支局もあったようだが、当該取扱いは排除業務を行うための限定した許可がであり、運送事業者であることを事由に有償運送の許可から除外できる法的根拠がないことから、運送事業者による許可の取得は可能と考える。
Q, 許可要件である「研修を受講した事業者」とは事業者のうち誰が受講すれば要件を満たしたことになるのか?
A、原則として、事業者のうち1名が受講すれば良いものとする。なお、受講者は代表者(責任者)が望ましいが、代表者が出席できない場合は排除業務の責任者等その他の従業員であっても可とする。
申請事業者が複数営業所を有しており、各営業所の車両について許可申請する場合は、各営業所に所属するも者も研修を受講することが望ましいが、許可要件として強制はせず、本社の1名であっても可とする。
なお、上記いずれの場合も、受講者から実際に排除業務を行う者に対して研修内容を伝達するよう指導すること。
Q, 車積載車を2台保有している場合、許可証の使い回しは可能か?
A、有償運送許可は、当該自家用自動車に対して許可されるので、複数台使用する場合は各々申請する必要がある。
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