金髪に染めた社員

社員が金髪に!?&営業中にマイカーで事故したら?

 

Q.営業中に社員のマイカーで事故を起こした場合

社員がマイカーで取引先に行く途中、事故を起こした。被害者は後遺症を訴えて、その社員に治療費を請求しているが、運悪く、車の任意保険が切れており、しかも本人では負担できない額である。それならば、会社に請求させてもらうと被害者は言っているが、この場合、会社と社員の責任はどうなるのか?

 A.

○マイカー通勤の社員が多い会社

○社員のマイカーを営業車として使っている会社

はたくさんあります。そして、その車が営業中に事故を起こすこともあります。さあ、こういう場合はどうなるのでしょうか?

まず、重要なのが「責任の所在、割合」です。それは「会社がどこまでマイカー使用を認めたか」によって変わります。

例えば、マイカー通勤「のみ」を認めている会社の場合、この会社ではマイカーを仕事に使うことを禁止しています。当然、社員が勝手に仕事に使用し、事故を起こしたら社員の責任です。

しかし、この会社が仕事にも使用することを「黙認」していたら、判断が異なります。なぜなら、認めているかどうかが不明確だからです。この判断根拠は、

○ガソリン代

○駐車場代

○保険料等の維持費

などを会社、社員のどちらかが負担しているかということです。もちろん、按分して会社が負担する場合も、会社に責任が発生します。

これらを会社が負担していたら、会社に責任があるのです。普段から仕事に使っているマイカーは、

○昼休みなどの勤務時間外

○休日中

なども会社の管理下と見なされること「も」あります。だから、

○会社に多少なりとも責任が発生する場合

○社員が負担できない場合

は会社が「一旦」賠償金を支払うことが多いのです。

ご相談のケースも、まずは会社が全額を支払い、社員の負担分を本人から分割でも構わないので返してもらってはいかがでしょうか? 事故を起こした社員に責任はありますが、会社の責任もあります。だから、社員が負担すべき金額を返してもらうのです。

また、今回の場合の大きなポイントは「保険の期限切れ」です。もし、任意保険が有効なら、「会社も」「本人も」負担額を抑えられたのです。

もし、会社で

○社員がマイカー通勤をすることを認めて(黙認して)いる

○仕事にマイカーを使用することを認めて(黙認して)いる

ならば、次のことを「今すぐ」確認してください。

○車検証(=自賠責保険の確認)

○任意保険の保険証券

この2点をすぐに確認し、コピーを会社に保存してください。

そして、「保険期限の管理表」を作成してください。これをすれば、会社は責任を果たしていることになります。事故防止にも積極的に関与したことになります。結果、会社の負担割合が減る可能性もあるのです。

社員が事故を起こしたら、会社にとっても大きな損失です。もちろん、お金の問題だけではありません。精神的にもダメージが大きいのです。場合によっては、社会的なダメージを受けることもあります。この場合は売上にも影響しますよね……。

当事者の責任だけでなく、その対応に当たる経営陣も大変です。多くの時間を取られ、通常の仕事をストップしなければいけません。もちろん、事故を100%防ぐことは難しいです。しかし、事故の予防に努めることはできます。何でも同じですが、「事前対策」することは大切なのです。その方がお金、時間、労力がかからないのですから。

事故ではありませんが、事前対策を怠り、10年も社員と会社が裁判をした例もあります。ここにかけるお金、時間、労力は膨大ですよね……。ただ、多くの会社で、このリスクを抱えています。そのリスクに気づいていない場合もあります。

例えば、

○年棒制でも残業代を支払わないといけない

○パート社員にも有給休暇を与えなければいけない

○50人以上の会社は「衛星管理者」を設置しなければならない

○50人以上の会社は「産業医」を選任しなければならない

などです。

○就業規則も整備した

○雇用契約書も適正に作成している

ということで、安心している会社はたくさんあります。しかし、こういう会社は内在するリスクに気づいていないのです。そして、それがある日突然噴出するのです。

だから、いきなりびっくりして慌てます。そして、私にご相談が来て、本当の実態を理解されるのです。リスクは内在することも含めて、事前対策しなければなりません。リスクが噴出することに比べれば、マニュアル作りに割く労力など微々たるものです。リスクが表面化する前にマニュアルを作りましょう。

 

ライター紹介

内海正人:日本中央社会保険労務士事務所 代表/株式会社日本中央会計事務所 取締役
主な著書:”結果を出している”上司がひそかにやっていること(KKベストセラーズ2013)、管理職になる人が知っておくべきこと(講談社+α文庫2012)、上司のやってはいけない!(クロスメディア・パブリッシング2011)、今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方!(クロスメディア・パブリッシング2010)

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