うつ病トンネル

うつ病の社員への対応は?優秀な社員が他社へ引き抜きその時・・

自動車整備士・整備工場の労務相談室

せいび界2011年6月号Web記事

Q、うつ病の社員への対応は?

先月には、うつ病の社員を休ませたいという質問があったが、逆にウチはうつ病が治った社員が復帰することになった。治ったといっても再発が多いと聞くので、どう対処したらいいのか?

A、

ご指摘の通り、残念ながらうつ病は再発が非常に多い病気です。「治った」と診断書にあっても、復帰後に再発するケースも多いのです。

当然ですが、復帰の判断をするのは会社です。しかし、会社は病気について詳しくないので、本人の主治医の判断を仰ぐことになります。この場合、会社は本人の病状を主治医に聞くことができます。もちろん本人の同意は必要ですが。

しかし、主治医はどうしても患者よりの診断となりがちですので、会社指定の医師などを受診してもらい判断したいところです。ただし、注意点があります。

それは、会社指定の医師などの受診を命じることは、就業規則や雇用契約書などに書かれていないと「できない」のです。具体的には次のように記載します。

(指定医健診)

第○条 従業員が次の各号のいずれかに該当する場合、会社は従業員に対し、会社の指定する医師の健康診断を受けさせることがある。なお、これは業務上の必要性に基づくものであるため、従業員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

なお、うつ病ではありませんが、受診命令に関する判例があるので、ご紹介します。

<全国電気通信労組事件 東京地裁 平成2年9月>

○本人は個人的な病気で休職した。
○本人は主治医の診断書「勤務可能」を理由に復帰を要請
○組合は規定に従い、指定する医師での受診を命令
○本人はこれを拒否
○就業規則に規定する休職期間の満了を理由に解雇
○就業規則には「指定医での受診命令は可能」と記載

しかし、これに納得できない本人は裁判を起こしました。そして、裁判所は、「指定医での受診を拒否したから、復職させなかったことは正当」と判断したのです。もちろん、これは就業規則にきちんと書いてあったからです。逆に言えば、書いてなければ、会社は負けていたのです。

うつ病は「治ったか」という判断がとても難しい病気です。しかし、病気のまま働くことは、本人のためにもならない(=悪化する可能性大)、仕事の効率も落ち、事故やクレームになる可能性もある、ということです。

 

次は、優秀な人材が他社へ引き抜かれた・・・法的に取り戻すことは?

AD
 data-src=有償運送許可研修を毎月開催" width="650" height="178" >

有償運送許可研修を毎月開催

せいび広報社では毎月、事故車故障車等の排除業務に係る有償運送許可の研修会を実施しています。会員限定ではなく、全国どの地域からも、法人・個人事業主でもどなたでもご参加いただけます。研修の受講者は、会社の代表者・経営者に限らず、従業員の方でしたらどなたでも、会社を代表して受講していただくことが可能です。

CTR IMG